【保存版】投資家296人に聞いた、「信頼できる不動産クラファンの特徴」とは?

近年、不動産クラウドファンディング投資への注目が高まっていますが、一部事業者のトラブル報道もあり、「より安心して投資ができるファンドはどれだろうか?」と悩む投資家も少なくありません。
当社では、LIFULL 不動産クラウドファンディングに登録されている投資家を対象に、どのようなファンドが信頼できるかについて、アンケートを実施しました。このコラムでは、調査データに基づき「信頼できるファンド」だと投資家が感じる特徴を掘り下げるとともに、各事業者の試みをご紹介します。今後の投資判断に、ぜひご活用いただけたら幸いです。
なお、本コラムの内容は、以下にも公開している調査内容を元に作成しております。
https://lifull-investment.co.jp/news/2137/
アンケート回答者の属性
調査対象 | 「LIFULL 不動産クラウドファンディング」登録会員 |
回答人数 | 296名 |
回答者属性 | 年齢層:40〜50代が50%超 男女比:男性が80%弱 |
サービスを選ぶ時の決め手は信頼
まず、投資家は不動産クラウドファンディングのサービスをどのように選んでいるのでしょうか。
「事業者が信頼できるか」が群を抜いて高く、次いで「ファンドの条件設定」、「配当金以外にもらえる特典」という回答順となりました。
多くの投資家は、ファンドの条件やもらえる特典などを見つつも、最終的な意思決定では「運営会社への信頼」が最大の要素となっていることが伺えます。
その他、「償還までの日数が短く、資金拘束期間が短いから」「社長のインタビューで戦略を知って」などの回答が挙げられました。
投資家が「信頼できる」と感じるポイントって?
先ほどの設問で、サービスを選ぶ決め手は「事業者が信頼できるか」が最も多い回答でしたが、では、投資家はどの要素を見て信頼できると判断しているのでしょうか。
信頼できるポイントという設問にて、「事業者の会社規模」と「ファンドの運用実績」を抑えて、最も多かったのは「情報の透明性」でした。
情報の透明性とは、ファンドの募集から運用終了までに開示する情報の多さであり、情報開示に対する事業者の姿勢であるとも言えます。
昨今、キレイな広告見出しやコマーシャルで投資家を集客している一方で、実際の投資案件の中身については詳しい説明がないような案件も見受けられます。そのような案件で償還遅延が起こった場合に、投資家から不満の声が上がっているように思われます。
もちろん、情報をたくさん開示しているから安心、と言えるわけではありません。しかしながら、公開している情報の内容が充分であれば、投資家自身が申込みの際に良し悪しの判断ができます。
ファンドの運用実績数も、事業者の会社規模もわかりやすい評価点であるかと思いますが、ファンドの実態をきちんと見極めようと投資家側も慎重になっていると言えそうです。
ファンドはどうやって選んでいる?
次に、投資するファンドをどのように選んでいるか、です。
この場合は、「利回りの高さ」が圧倒的に高い結果となりました。「不動産の立地」、「劣後出資比率の高さ」との回答が続いています。
一見すると高い利回りだけを追い求めていると思いきや、自由回答では、リスクとリターンのバランスや、ほどよい利回りを求めている、という回答がみられました。利回りはリスクに比例する、というのが一般的に投資を行う上での考え方になりますので、高すぎる利回りは逆に怖い、と考える投資家もいるようです。
また、不動産の立地という回答は、災害リスクを意識した地域の分散という観点もありつつ、都心案件の需要が高いという側面も見られました。都心で利回りの高い物件を見つけるのが難しくなっている中、事業者としての腕の見せ所と言えるかもしれません。
> 不動産クラウドファンディングの優先劣後方式とは?おさえておきたい投資家のリスク回避の仕組み
不動産クラウドファンディング事業者の試み
近年、一部の不動産クラウドファンディング事業者においては、信頼性の向上に向けた試みが見られます。
サービスレター
一部サービスでは、サービスの状況について四半期(3ヶ月)などでまとめ、公開しています。主に期間中のサービスのトピックスや、運用中ファンドの進捗状況、などがまとめられています。特に開発を伴うファンドでは、対象案件の開発進捗のアップデートは投資家の安心感につながるでしょう。
不動産鑑定評価の取得
投資対象となる不動産の鑑定評価書を取得して公開しています。多くの場合はコストが抑えられる簡易鑑定で実施されていますが、プロジェクトのタイプや規模によっては現地調査を含めた本鑑定を公開している場合もあります。
決算書類の公開
財務関連の書類をサイト上で公開しています。本来、不特法(不動産特定共同事業法)では出資者にB/SとP/Lのみ開示すれば問題ありません。その点、上場企業であればそもそも監査法人のチェックを受けた有価証券報告書が開示されているため、情報開示の面で安心感があります。一部の未上場業者でも、上場企業に倣って決算書類をなるべく開示しようという動きが見られます。
以上のような試みを実施しているのは、現状、ほとんどが大手の事業者です。
少ない人数でサービスを運営している事業者では、どうしてもこのような業務の優先度は下がってしまうのかもしれません。
なお、このような試みを実施しているから必ず安心、というわけではありません。あくまで参考情報としつつ、周辺情報も加味した上で投資判断されると良いでしょう。
LIFULL 不動産クラウドファンディングの試み
LIFULL 不動産クラウドファンディングでは、ファンドや事業者に関する以下の情報開示を行っています。(現在準備中のものを含む)
- ファンド審査レポート
ファンドの募集を取り扱う際に、社内の審査を経ています。どのような審査を経て公開まで至ったか、を募集ページ内にて開示しています。 - 事業者の詳細情報(2025年9月公開予定)
事業者自体の財務状況などチェックした内容を、事業者ごとのページで開示予定です。 - モニタリングレポート(出資者のみに順次配布)
ファンドの運用期間中に行ったモニタリングの結果を、レポート形式でわかりやすく、出資者の皆様に公開していく予定です。
ファンドを運営する事業者自らが、運営ファンドについて客観性のある情報を公開することは簡単ではありません。LIFULL 不動産クラウドファンディングは独立した立場で事業者にヒアリングを行い、情報開示を行っています。
まとめ
投資家へのアンケート結果から、投資家が本当に求めているのは「利回り以上の安心感」であることがわかります。
様々な事業者が増え、ファンドの募集額が急増し、投資家の不満や不安の声も聞こえてくるようになった昨今、不動産クラウドファンディングという投資商品に潮目が来ています。事業者としても、情報開示を重視する姿勢に意識を変えていくことがさらに求められていくでしょう。
このコラムを読まれている皆様も、利回りの数字だけに踊らされず、ご自身のリスク許容度も踏まえて信頼できるファンド、サービスに投資するようにしていただければと思います。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身のリスク許容度を踏まえて行うようお願いいたします。

LIFULL 不動産クラウドファンディング編集部
金融分野全般に視野が広いライターと、不動産クラウドファンディングに精通した校閲メンバーにて構成。投資家目線のわかりやすい記事を届けることをモットーに、不動産クラウドファンディングを中心とした投資お役立ち情報をお届けします。