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初心者向け 2025.07.17

生成AIに“怪しい不動産クラファン案件”を作らせてみたら、リアルすぎて震えた

ここ数年で、不動産クラウドファンディングの投資案件は大量に増えています。

しかしながら、不動産クラウドファンディングに携わっている私たちが疑問に思うような怪しい投資案件もその中には見られます。

このコラムでは生成AIを使って怪しい不動産クラファン案件を作ってみました。普段我々がどのような視点で案件概要を見ているのか体験していただき、今後ご自身で投資される際の参考にしてみてください。

“怪しいクラファン案件”の生成プロセス

今回使用したのはchatGPTのo4-mini-highモデルです。
以下のみを前提条件とし、それ以外の条件設定はすべて生成AI側に決めてもらうように指示しました。

  • 人気はあるが元本償還が不確かで投資家に「怪しい」と思わせるものにすること
  • 実際に償還が遅れた事例があれば、条件設定の参考にすること
  • 匿名組合型の設定にすること

瞬時に”怪しいクラファン事例”の案件概要が生成されましたが、ファンド概要から収益分配シミュレーションまで盛り込まれ、そのリアリティに驚かされます。

生成された案件のリアルさと潜んでいるリスク

以下が生成AIが生成した”怪しい不動産クラファン案件”です。
実際に投資を検討するつもりで見ていただき、どこが怪しいかをご自身で判断してみてください。


ファンド概要

名称シェアレジTokyoグロースファンド
所在地東京都荒川区南千住
対象不動産築35年RC造5階建・事務所兼共同住宅

本ファンドの投資対象は東京都荒川区南千住にある、敷地面積約200.00㎡(約60坪)、延床面積約600.00㎡(約180坪)の事務所兼共同住宅(RC造5階建)(以下「本物件」)です。

本物件を取得後、大規模リノベーションを実施し、賃貸運営を経て売却を行います。なお、市場環境の変化等に伴い、リノベーションを行わず現況のまま売却する判断を行う場合もあります。

投資額に応じて賃料収益および売却利益の一部を分配します。想定運用期間は24ヶ月、想定利回りは年率8.0%(税引前)です。

本物件の最寄り駅は、徒歩5分のJR常磐線・東京メトロ日比谷線・つくばエクスプレス「南千住駅」です。隅田川テラスや東京スカイツリーを望む散策路が徒歩圏内にあり、都心の利便性とリバーサイドの落ち着きを両立する立地です。

都心へのスムーズなアクセスと隅田川沿いの穏やかなリバーサイド景観が同時に手に入る南千住は、まさに「働き」「暮らす」「遊ぶ」がバランス良く調和した新たな都市居住の最前線です。日比谷線・つくばエクスプレスで銀座・秋葉原・柏へダイレクトに、JR常磐線で上野・東京方面へもスピーディに移動できる交通利便性は、オフィスワーカーだけでなくファミリー層やクリエイターからも高い支持を集めています。

隅田川テラスでは四季折々の風景を楽しみながらジョギングやカフェタイムを満喫でき、都心の喧騒を忘れさせる“癒しのオアシス”が日常のすぐそばに広がります。さらに、周辺では大型再開発プロジェクトが進行中で、今後の地価上昇や賃料アップへの追い風が期待されるエリアです。

募集・出資条件

  • 募集金額:1億4,000万円(1,000万円を事業者出資)
  • 想定利回り:年率8.0%(税引前)
  • 最低出資額:10万円
  • 運用期間:2025年9月~2027年8月
  • 分配頻度:四半期ごと

主なスケジュール

  1. 2025年9月上旬:物件取得
  2. 2025年9月~2026年2月:大規模リノベーション
  3. 2026年3月~2027年6月:賃貸運営(シェアハウス/SOHO)
  4. 2027年7~8月:売却実行

資金使途内訳(総額1.5億円)

項目金額
物件取得費用1億800万円
リノベーション費用3,200万円
諸経費1,000万円

年間キャッシュフロー計画

期間賃料収入運営費用管理手数料純CF
2026年度(6–12月)4,200万円1,800万円63万円2,337万円
2027年度(1–6月)4,800万円2,000万円75万円2,725万円

出口戦略

  • 売却時期:2027年7~8月(市況に応じ最大6ヶ月延長)
  • 売却先候補:国内REIT、富裕層個人投資家

魅力的な立地に、高い想定利回り、、どうでしょう?

作り込んだものではないので色々な粗はありますが、これだけ見れば投資しようかと思う人もいらっしゃるのではないでしょうか。

たしかに魅力的に感じられるかもしれませんが、以下の懸念すべき点があります。これらを見抜けないと、元本割れや分配金が出ないなど重大な損失につながる恐れがあります。

  • タイトなスケジュール
    物件取得後すぐ大規模リノベーションを実施とありますが、物件取得の時点で全戸空室なのか、いつ退去の予定なのかなどの現況がわかりません。予定通りリノベーションが実施できなかった場合、運用スケジュールへの影響が考えられます。
  • リノベーション費用の見積もりが楽観的
    リノベーションに係る費用の見積もりは開示されているでしょうか。適正な工事内容になっているか確認ができません。築年数からすると今時のシェアハウス/SOHOに対応している建物とは思えませんので、リノベ費用を3,200万円と見込むのは甘く、コスト超過時のキャッシュフロー枯渇が懸念されます。
  • 賃貸運営の不確実性
    物件取得前のトラックレコードや、近隣同種の物件の入居率はどうでしょうか。賃料収入の見積りは妥当でしょうか。大規模リノベーションを行うのであれば、現在は入居者はいないかと思われます。リノベーション後にどの程度入居が見込めるのかが不確実です。
  • 出口戦略の不確実性
    ファンドの事業者の過去の運営実績など、売却計画の信頼度を補強する材料が公開されていません。売却先候補が挙げられていますが、実際の確度がわからず、売却活動の具体的な計画がない可能性もあるでしょう。

もちろんこのような案件が、必ずしもリスクが高いわけではありません。
公開情報にはあえて載せていない買い手の動向を把握している可能性もあるでしょう。

ただし弊社がもしこのサンプルファンドの募集を行う場合は、これらのリスクについて詳細にファンドの事業者にヒアリングし、満足のいく回答が得られない限り、このままの内容では募集の取扱いはできないと判断する可能性が高いです。

このファンドでチェックすべき点

今回のサンプルファンドにおいて、投資家がチェックすべき主なポイントには以下のようなことが考えられます。

  • 運用スケジュールに無理はないか:ファンドの運用開始からリノベの実施、売却活動といったスケジュールに無理がないかを確認しておくべきでしょう。
  • リノベーション費用の確からしさ:リノベーション計画の詳細と、3,200万円がどこから来ている金額なのか、確認しておくべきでしょう。(LIFULL 不動産クラウドファンディングでは、主な支出については見積内容を確認し、資金使途におかしいところはないか確認しています。)
  • 賃料保証の有無:賃貸運営開始後マスターリースなどがついている場合はマスターリースの契約相手がだれなのかも重要です。ついていない場合、エリアの空室率データを調べて、賃料収入が分配される確からしさを確認しておくと良いでしょう。
  • 出口戦略の確からしさ:マスターリースがついていても、実際に入居率が低い場合には売却も難しくなります。現時点で入居があるなしは判断できないため、最後は事業者自らが抱える(自社物件として購入する)ことも選択肢にあるか、ファンドの事業者にその体力があるのかについても確認しておくべきでしょう。

出資を考えている案件でこれらの情報が不足している場合、説明会への参加や個別の問い合わせをして確認することが必要でしょう。

LIFULL 不動産クラウドファンディングの審査体制

LIFULL 不動産クラウドファンディングでは、案件の審査担当者がファンドの運用者から独立した立場で、これらの項目について投資家保護の視点からチェックをしています。

  1. 事業者審査:事業者の財務状況や運用担当者の運用能力を審査します。
  2. ファンド取扱審査:募集を行うファンドの中身を確認し、事業計画、資金使途、分配・償還の確からしさをチェックします。
  3. モニタリング審査:ファンドの運用中も定期的に運用事業者にヒアリングを行い、事業者の経営状況やファンドの運用状況のモニタリングを実施します。

リスク管理のポイント

以上がファンドに出資する前にチェックすべき項目になりますが、普段の生活で忙しい中でここまで細かくチェックするのは現実的ではないでしょう。

不動産クラウドファンディングの初心者~中級者の方におすすめするリスク対策は以下です。

  • 分散投資の徹底:事業者や対象不動産タイプを複数に分散
  • 小口投資から始める:リスク許容度を確認しながら段階的に出資金額を増やす

また、詳細は本記事では割愛しますが、信頼できるファンド運営事業者を見つけることも不動産クラウドファンディング投資における大きなリスク管理になりえます。

それまでは、まずは少額から分散して投資を行い、少しずつ知識を蓄えてきたら徐々に投資額を増やしていくのが、想定外のリスクを最小限に抑える方法となるでしょう。

まとめ

今回の実験では、生成AIが“怪しい不動産クラファン案件”をいかにリアルに描写できるかを示しました。その裏には、楽観的なシミュレーションやその証拠となる情報開示不足といったリスクが潜んでいました。

不動産クラウドファンディングでは、ファンドの事業者を信頼してその事業者と契約を行います。多くの場合は匿名組合契約で、ファンドの運用が終了するまでは自由に解約することは難しい側面があります。

投資家の皆様には、必ず記載事項の確からしさの確認を行い、利回りだけに左右されない慎重な姿勢を持っていただきたいと思います。

※本記事は投資を推奨するものではなく、リスク理解の一助としてご活用ください。

LIFULL 不動産クラウドファンディング編集部
この記事を書いた人

LIFULL 不動産クラウドファンディング編集部

金融分野全般に視野が広いライターと、不動産クラウドファンディングに精通した校閲メンバーにて構成。投資家目線のわかりやすい記事を届けることをモットーに、不動産クラウドファンディングを中心とした投資お役立ち情報をお届けします。

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