イーサリアムのハードフォークとは?価格は上がる?予定はいつ?

仮想通貨では、定期的にハードフォークと呼ばれるアップデートが行われています。ハードフォークが行われるタイミングで大きな価格の変動が発生することがしばしばです。仮想通貨の銘柄として人気の高いイーサリアムでも、過去にはハードフォークが行われて大きな価格の変動が発生しています。
それでは一体、イーサリアムのハードフォークとは何でしょうか。本記事では、イーサリアムのハードフォークについて徹底解説します。
ハードフォークとは
ハードフォークとは、ブロックチェーンにおける互換性がない大規模なアップデートを指します。具体的にはブロックチェーンのプロトコルに規定された検証規則を緩和することで生じる、ブロックチェーンの分岐を指します。
またブロックチェーンとは、各種の取引履歴を対象として、暗号技術を用いて過去のデータから1本の鎖状に繋げ、正確な取引履歴を維持する技術のことです。ブロックチェーン技術を用いることで「データの破壊や改ざんが発生しにくい」「障害により停止するリスクが低い」といったメリットがあります。
ハードフォークとソフトフォークの違い
ハードフォークの特徴として、アップデートされると前のバージョンに対して互換性がなくなる点が挙げられます。逆に、アップデートしても互換性をキープしている場合はソフトフォークと呼ばれます。
合意形成が取れた場合・そうでない場合
ハードフォークに対して、合意形成が取れるかどうかによって、その後の対応が大きく異なります。もし、仮想通貨の開発方針がコミュニティ内で合意された場合は、アップグレードした仮想通貨に対して、大半のノードが支持した形となります。これにより、支持を失ったもう一方の仮想通貨は消滅するのです。
イーサリアムが2017年10月におこなったハードフォークでは、合意が形成された後で実行されました。逆に、開発方針がコミュニティ内部で合意されていない場合、ハードフォークに対して賛成派と反対派にコミュニティが分裂するケースが考えられます。この状態でハードフォークが実行されると、二つのコミュニティがそれぞれに支持する仮想通貨が誕生します。
イーサリアムでも、2016年7月にハードフォークした際に、現在のイーサリアムとイーサリアムクラシックが誕生しました。ハードフォークが発生すると、バージョンを識別するために新バージョンに対して新しい名前が命名されるのが一般的です。
ハードフォークが起きるとどうなる?
ハードフォークが発生した場合、様々な方面に影響を及ぼします。主な影響としては、以下のような点が挙げられます。
- 新通貨ができる
- 急激な通貨の値動きが発生する可能性がある
- 一時的な取引停止が起きる
ここでは、ハードフォークが発生した場合の影響について解説します。
新通貨ができる
先に紹介した通り、合意形成が取れていなかった場合のハードフォークでは、新通貨ができる可能性があります。例えば、ビットコインの場合は、ハードフォークによって過去に以下のような仮想通貨が誕生しました。
- ビットコインキャッシュ
- ビットコインゴールド
- ビットコインダイヤモンド
- ビットコインシルバー
イーサリアムでもイーサリアムクラシックが誕生するなど、ハードフォークが大きな分岐点となる場合が多いです。もし新通貨ができた場合、旧通貨の保有割合に応じた新通貨が仮想通貨取引所から与えられる可能性もあります。
急激な通貨の値動きがある可能性
仮想通貨トレーダーとして、最も気になるのが仮想通貨市場への影響です。ハードフォークが発生すると、急激な相場の値動きが発生するケースがあります。これは、ハードフォークに対する期待や不安などの思惑により、急騰したり急降下したりする場合があるのです。
急激な値動きに対応できるよう、日頃から情報収集して対応しなければなりません。
一時的な取引停止が起きる
イーサリアムでは、2022年6月30日に「Gray Glacier(グレイ・グレーシャー)」と命名されたハードフォークが行われました。ハードフォークは互換性がなくなるほどの大きなアップデートであるため、一時的に取引システムを停止して対応しなければなりません。Gray Glacierの実施時も、2022年6月29日17時から2022年7月1日11時までの間、取引所での預入や引出が一部停止されました。
仮想通貨の売買や預入、引出、日本円の入出金には影響がなかったものの、ハードフォークが行われる際には、一部機能が利用できない点に注意が必要です。
イーサリアムとは
イーサリアムとは、スマートコントラクト機能が実装されている、分散型アプリケーションプラットフォームのことです。スマートコントラクトとは、事前に決定した設定に従い、自動的に実行されるシステムを指します。イーサリアム上で使われる通貨はEther(イーサ)と呼び、イーサリアムの利用時にかかる手数料をGas(ガス)と呼んでいます。
イーサリアムの概要は、以下の通りです。
通貨記号 | ETH |
時価総額 | 約50兆円 |
発行上限 | 上限なし |
上場時期 | 2015年8月6日 |
開発者 | ヴィタリック・ブテリン氏 |
イーサリアムは、他の仮想通貨よりも複雑な取引や契約が行えるメリットがあります。また、取引の承認に用いられるブロックの生成間隔についても約15秒と短く、大量の取引をよりスピーディーに処理できる点も魅力です。
> イーサリアム(ETH)とは何?特徴・ビットコインとの違い・将来性についてわかりやすく解説
イーサリアムのハードフォークはいつあった?歴史を解説
イーサリアムでも、過去数回のハードフォークが行われた歴史があります。過去のハードフォーク事例を学ぶことで、次回ハードフォークがあった場合にどのような点に警戒すればよいかが理解できます。ここでは、イーサリアムにおけるハードフォークの歴史を紹介します。
イーサリアムはこれまでもハードフォークを繰り返してきた
イーサリアムはこれまで幾度となくハードフォークを繰り返してきました。ハードフォークの歴史を紐解くと、イーサリアム1.0の時代には、以下の順番でハードフォークが行われてきました。
- 第一段階:フロンティア
- 第二段階:ホームステッド
- 第三段階:メトロポリス
- 第四段階:セレニティ
第一段階であるフロンティアは、2015年7月30日に一般公開されたバージョンです。フロンティアの誕生時点で、すでに次のプロジェクトが動き始めており、イーサリアムが軌道に乗り始めた2016年3月14日に、ホームステッドへハードフォークされました。これまでハードフォークを繰り返すたびに価格を上昇させており、大きな注目を集めています。
イーサリアムクラシックの誕生
ホームステッドへの移行完了後、様々なプロジェクトがイーサリアム上で誕生しました。
中でも、スマートコントラクトを活用した自立分散型の投資ファンドである「THE DAO」に高い注目が集まりました。ただし、2016年6月にTHE DAOのシステム上のバグを足掛かりに、約50億円相当のイーサがハッキングされる事件が発生しました。この事件をきっかけに、被害者の救済を目的としてハードフォークが行われたのです。
ハードフォークによって、ハッカーが盗んだイーサの取引記録をブロックチェーン上から削除して、被害者にイーサを変換することが提案されました。コミュニティ内では、ハードフォークの内容に反発する勢力がいたものの、ハードフォークが強行されたのです。この際に、ハードフォークに賛成しなかった一部グループが、イーサリアムクラシックとして従来通りの形で運営を始めています。
イーサリアムクラシックは、従来のイーサリアム同様にスマートコントラクトが最大の特徴であり、またイーサリアムクラシック上のプラットフォームでスピーディーに送金可能です。
> イーサリアムクラシックとイーサリアムの違いとは?チャートの分析と将来性について
イーサリアムゼロの誕生
2016年6月に発生したTHE DAOの一件により、ハッキング対策を施していたにもかかわらず、2017年7月にも盗難事件が発生しました。ParityTechnologiesが提供していたウォレットの脆弱性をターゲットにして、ハッカーによって15万3,000ETHもの資金が盗み出されました。
また、被害の拡大を防止する目的で、93万ETHがロックされて、送金や取引がストップしたのです。イーサリアムとしては、さらなるハードフォークへの対応が迫られ、2018年1月にハードフォークが行われました。この際に誕生したのが、イーサリアムゼロ(ETZ)です。
イーサリアムゼロは送金に力を入れており、送金手数料がゼロでブロック生成スピードは10秒とスピーディーに処理できる特徴があります。イーサリアムゼロが誕生した際、ハードフォークの前から多くの情報が飛び交い、イーサリアムの価格が急騰しました。
イーサリアムのハードフォーク。2022年の「The Merge」
2022年は、大型アップデート「The Merge」が実施されイーサリアムにとって大きな転換期でした。The Mergeの目玉として、既存のPoW(Proof-of-Work)からPoS(Proof-of-Stake)へのアップグレードが実施されました。
PoWやPoSとは、コンセンサスアルゴリズムの手法であり、PoWは素早く大量に計算処理する人が取引の承認者になれます。一方で、PoSはステーク(コントラクトにロック)する仮想通貨の量に比例して承認者になる可能性が高い方式です。
PoWの場合、マイニングによる獲得競争が激化することで、多くの消費エネルギーが発生するデメリットがありますが、The Mergeにより完全にPoSに移行すれば大幅に消費エネルギー削減が期待できます。また、PoS移行によるセキュリティリスクについての様々な考慮がなされており、The Mergeに対してポジティブな意見が大半でした。
イーサリアムのハードフォークに備えよう
ハードフォークによるイーサリアムのアップデートは今後も続きます。さらに強固なシステムへのアップグレードされる見込みですが、ハードフォークにより脆弱性が発覚するリスクはゼロではありません。よって、イーサリアムを投資目的で利用する際には、動向などを見定めて慎重に行ってください。
なお、リスクが低い投資手法として、不動産クラウドファンディングがおすすめです。手軽に1万円から不動産投資できるメリットがあるため、投資先としてぜひ検討してください。
【監修者】CFP資格保有者 宮脇英寿
中学高校の数学教師を経てファイナンシャルプランナーの道に進む。年間100世帯以上の個別相談に対応しながら、確定拠出年金や住宅ローン、ねんきん定期便の見かた等各種セミナー講師も担当。住宅ローンアドバイザー、宅地建物取引士の資格も保持。

LIFULL 不動産クラウドファンディング編集部
金融分野全般に視野が広いライターと、不動産クラウドファンディングに精通した校閲メンバーにて構成。投資家目線のわかりやすい記事を届けることをモットーに、不動産クラウドファンディングを中心とした投資お役立ち情報をお届けします。