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おすすめコラム 2023.02.28

資金調達とは?概要と具体的な調達方法を解説

本記事はLIFULL HOME’S 不動産投資からの寄稿記事です。

事業を立ち上げたり継続させたりするためには、まとまった資金が必要となります。
自己資金で賄えない場合、外部の力を借りて資金を調達しなければなりません。
資金調達には複数の手段があり、それぞれの特徴を知ったうえで、事業や状況に適した判断をすることが重要です。

そこで本記事では、資金調達の種類や事業ごとにおすすめの資金調達方法を解説します。
将来的に資金調達を考えている方、資金調達に関する知識を身に付けたい方は、ぜひ参考にしてください。

資金調達とは

ビジネスにおける資金調達とは、会社が事業を行うために必要な資金を、金融機関や投資家などの外部から調達することを意味します。

事業を発展させ、会社を経営していくためには、人材や設備を確保しなければなりません。資金調達を行わずに事業を拡大していけば、場合によっては手持ちの資金が底をつき、倒産する恐れがあるかもしれません。経営者は常に、会社の原動力となる資金調達について考えなければなりません。

資金調達を行う具体的な目的は、起業、新規事業開発、事業運転、設備投資、企業買収などさまざまです。
起業や新規事業開発の際は、利益を確保できる保証がないなか、多額の出費が予想されます。また、事業を継続して運営していくなかでも、経費の支払いと売り上げの入金のタイムラグを埋めるため、資金が必要となるケースがあります。

さらに、既存事業を改善・拡大するためには、設備の更新や新技術の導入を検討する場合もあるでしょう。企業買収を行う際は当然、多額の資金を用意しなければなりません。

資金調達は会社の信用力向上や、安定経営につながります。
調達した資金を返済できれば返済能力が認められ、金融機関から融資が受けやすくなり、社会的評価も上がります。また、長期的な財務状況や事業計画を見据えて、計画的に資金を調達することで、経営上の余裕が生まれます。

資金調達の種類

資金調達には短期的なものと長期的なものがあります。
資金を活用する期間と返済期間にズレが生じると、返済が難しくなり、事業や会社経営に悪影響を及ぼすリスクが考えられます。

例えば、耐用年数が10年以上の設備投資を、返済期間が1年の短期資金で導入したとします。返済原資は設備投資によって10年かけて得られる分の利益であるものの、1年後に返済しなければならないため、返済原資が不足するかもしれません。

調達した資金をどれほどの時間をかけて活用していくのかを念頭におき、資金調達の手段を検討しなければなりません。
以下で、長期資金調達と短期資金調達の特徴を見ていきましょう。

長期資金調達

長期資金とは、返済期間が1年以上、もしくは返済義務のない資金のことです。
土地の購入や工場の建設、機械購入に必要な設備資金、仕入れ費用や人件費などの経常運転資金、売り上げの増加や決算条件の変更により必要となる増加運転資金、売り上げの減少や不良債権発生などを補填する赤字資金などが挙げられます。
会社を経営するうえで欠かせない費用であるため、高額になりやすいです。

長期資金を調達する際は、長期的に借り入れ可能な証書貸付や社債、返済義務のない増資などの手段を選びましょう。
経常運転資金や増加運転資金は、金融機関が積極的に融資したい資金であるため、事業計画書や資金繰り表を用意し、時間に余裕を持って申し込むと、希望額を調達できる可能性が高いです。反対に、赤字資金は金融機関からの借り入れが望めないため、信用保証協会の別枠融資やセーフティネット保証制度の利用を検討しましょう。

短期資金調達

短期資金とは、返済期間が1年未満の資金のことです。
法人税や株主配当金、役員賞与などの決算資金や、従業員に支払う賞与資金、繁忙期の商品仕入れ費用や閑散期の固定費など特定の時期に必要となる季節資金、収支のタイムラグを埋めるためのつなぎ資金などが挙げられます。
短いスパンでの借り入れと返済が繰り返される点が特徴的です。

短期資金を調達する方法として、手形貸付やファクタリングなどがあります。
手形貸し付けとは、金銭消費貸借契約証書に代わって約束手形を差し出し、手形の額面から利息分を引いた金額分の融資を受ける方法です。

あらかじめ支払い期日を半年〜1年に設定し、短期間で借り入れできます。
ファクタリングとは、売掛債権を期日前に売却し、手数料を差し引いた額を現金で受け取れるサービスです。信用情報に影響を与えることなく、担保なしで短期間で資金が手に入るというメリットがあります。

資金調達の手段

資金調達の手段は、集めるお金の種類や形態によって分けられます。
ここでは、借り入れ・投資・売却とその他に分けて、具体的な方法を見ていきましょう。

手段①負債を増やす(借り入れ)

金融機関や公的機関などから資金を借り入れて、負債を増やす方法です。
デッドファイナンスとも呼ばれます。
調達先の選択肢が多く、小規模ビジネス事業者にとっても、比較的簡単に資金を調達しやすいです。また、少ない自己資金でも借り入れによって、大きな利益を生み出す「レバレッジ効果」も期待できます。利息の支払いは税務上の損益として計上されるため、税金を抑えられます。
一方で、月々の返済義務が生じ、利息分によってキャッシュフローが悪化する恐れも否めません。また、融資を受けるためには、不動産をはじめとする担保や保証人が必要です。

金融機関からの融資

地方銀行や都市銀行からの借り入れは、主にプロパー融資と保証付き融資があります。
前者は銀行が貸倒れリスクを負うのに対し、後者は信用保証協会の債務保証に基づくため、銀行に貸倒れリスクがなく、中小企業やベンチャー企業も利用しやすいです。
また、地域に根ざした信用金庫は、特定分野の事業者が融資を受けやすい傾向があります。
日本政策金融公庫や商工組合中央金庫など、政府系金融機関は創業者や小規模ビジネス向けの融資制度を設けており、低金利で借りられます。

ノンバンクのローン

消費者金融やクレジットカード会社など、預金業務を行わずに与信業務に特化した「ノンバンク」のビジネスローンも、資金調達手段の一つです。
ビジネスローンは無担保かつ保証人なしで、申し込みから入金までが1週間以内と、スピーディーに借り入れできます。
一方で、金融機関よりも金利が高めに設定されており、計画的な利用と返済が重要です。

自治体の制度融資

地方自治体・民間金融機関・信用保証協会の3機関が連携して実行する融資です。
都道府県ごとに設置された信用保証協会の審査を受け、債務保証を得られた際に借り入れできます。銀行の貸倒れリスクがないため信用力が低い段階でも借りやすく、金利も低めに設定されています。ただし、手続きの工程が多く、通常の銀行融資に比べて入金までに時間がかかる傾向があります。

社債の発行

会社の債権を発行し、買ってもらうことで資金調達する方法です。
なかでも少人数私募債は、機関投資家や取引先だけでなく、従業員や知人・親族などの個人も含め、50人未満の少人数に向けて発行する社債です。
償還日(返済期日)を迎えたら返済する義務があるものの、融資のように毎月元金を返済する必要がなく、利息分の支払いのみで済みます。
ただし、発行やその後の手続きがやや煩雑で、償還の可能性が低ければ私募債の発行自体難しいです。

手段②資本を増やす(投資)

株式を発行することで、資本金や資本剰余金などの株主資本を増やし、自ら資金を調達する方法です。エクイティファイナンスとも呼ばれます。
調達した資金の返済義務がなく、将来のキャッシュフローに影響が出ません。
担保や保証人を用意する必要がないため、社債発行が難しい企業でも利用できます。
また、自己資本比率が上がるため、財政基盤を安定させられます。会社が減資や解散をしない限り、資金が外部に逃げることはありません。
一方で、株式の発行により、事業主の株式比率が下がってしまいます。
会社の経営権は株式の持ち分によって決まるため、買収や合併のリスクが伴います。

エンジェル投資家

有望な経営者や起業間もない企業に出資する個人投資家を、エンジェル投資家と呼びます。
厳しい審査がなく、信用力や実績が乏しい場合でも、スピーディーに資金を調達しやすいです。ただし、あくまで個人による投資であるため、調達可能な金額が少ない傾向にあります。

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルとは、機関投資家や事業会社、金融機関などから出資を募り、未上場のベンチャー企業やスタートアップ企業に投資する専門会社です。
投資先企業が株式公開(IPO)やM&Aを果たした際に、株式売却益を得ることが目的で、投資先の経営を積極的にサポートします。
ベンチャーキャピタルは短期間での成果を望むため、安定株主にはならず、審査も厳しめです。

第三者割当増資

既存株主・新規株主を問わず、特定の第三者に対して新株を発行し、割り当てて資金を集める方法です。株式の売却先が決まっているため早期での資金調達が可能です。
ただし、既存株主の株式比率が変動するため、事業主の経営裁量が奪われるリスクもあり、慎重な調整が必要です。

クラウドファンディング

インターネット上で自らファンドを立ち上げ、出資を募る方法です。
事業に賛同する不特定多数の人から資金を調達できます。
出資金額に応じて出資者に返礼品などのリターンをするのが一般的で、出資金の返済の有無はクラウドファンディングの種類によっても異なります。
資金調達までの時間が読めない点と、希望額を集められるかが不安定なことが難点です。

手段③資産の現金化(売却)

現在手元にある資産を現金化し、資金を調達する方法です。
アセットファイナンスとも呼ばれます。
信用度が低くても、買い取り市場さえあればコストを抑えてすぐに資金を手に入れられます。
ただし、価値がある資産がなければならず、中堅・大手企業に比べて、スタートアップや小規模ビジネスでは資金調達が難しいです。

固定資産売却

社宅・保養所などの不動産や、車両や設備、有価証券やゴルフ会員権などの動産を売却します。今後のランニングコストも削減できる一方、希望額で売却できるかは分かりません。

リースバック

不動産や設備、車両などを一度リース会社に売却し、リース契約を結んで引き続き利用する方法です。売却代金が一度に入るものの、仲介手数料や抵当権抹消費用、印紙税などがかかるうえ、リース契約による賃貸料がかかるため効果を慎重に検討する必要があります。

ファクタリング

売掛債権をファクタリング会社に売却し、早期で現金化する方法です。
数日以内で資金調達ができるものの、手数料が差し引かれます。
審査の対象は売掛先であり、個人事業主や起業間もない企業でも利用しやすいです。

手段④その他

その他の資金調達の手段として、補助金や助成金の利用が挙げられます。
国や地方自治体・財団などから支給され、返済の義務がありません。
通常、制度ごとに募集要件が設けられており、審査や選抜に通過しなければならない場合があります。また、申請に必要な書類の準備や採択後の報告を行う手間がかかったり、入金まで時間がかかったりする恐れも考えられます。

事業に合わせた資金調達方法

最後に、事業ごとにおすすめの資金調達方法を紹介します。

スタートアップ・ベンチャー企業

スタートアップやベンチャー企業は、規模が小さく経営基盤が確立していないケースが多いです。資金調達の際、将来性を重視するベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資を受けることで、経営のノウハウを学びながら事業を進めることも期待できます。

小規模ビジネス・個人事業主

小規模ビジネスや個人事業主の場合、必要となる資金が比較的少なくて済む可能性が高いです。
資金調達の際は、公的金融機関からの融資やクラウドファンディング、補助金や助成金を検討してみてもよいかもしれません。近年では、個人事業主や小規模ビジネス向けの融資制度も増えており、クラウドファンディングの知名度も上がっています。

資金の種類や活用の目的に合わせた資金調達を

いかがでしたでしょうか。
今回は資金調達の目的や役割、種類や具体的な調達手段について解説しました。
会社が必要とする資金にはさまざまな種類があります。計画的に返済し、安定的に会社を経営するためには、事業や状況に応じて適切な調達手段を選ぶことが重要です。

元記事:資金調達とは?概要と具体的な調達方法を解説

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部
この記事を書いた人

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

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