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おすすめコラム 2023.01.31

日本だけじゃない、お隣の国も!? コロナ禍の上昇期に集中した投資で悩める若者たちの現状とは?

本記事はLIFULL HOME’S 不動産投資からの寄稿記事です。

コロナ禍にもかかわらず意外にも株価や暗号資産価格の上昇が見られた2020年後半~2021年。
日本だけでなく、お隣の国・韓国でも多くの若者が投資に乗り出しました。

しかしそこから一転、ウクライナ情勢やアメリカの金融引き締め、円安・ウォン安などさまざまな理由から2022年には株価・暗号資産ともに急落。
投資経験の少ない若者が多くの損失を出し、将来に不安を抱えて苦しんでいるようです。

コロナ禍における株式・暗号資産の価格変動と、損失を抱えた日本・韓国の若者、その現状をまとめました。

【2020年~2021年】コロナ禍における株式・暗号資産の価格上昇

2020年から広がった新型コロナウイルス。未曽有の事態に世界的に経済が停滞し、急速に景気が悪化しました。
しかし景気が悪くなっても、なぜか株価・暗号資産価格は上昇し、多くの若者の投資への取り組み増加につながったわけです。
そこでまずは当時の価格上昇の経緯、実情について見ていきましょう。

日経平均株価

2020年初旬に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて急落した株価。
2020年3月の日経平均株価月次終値は3年ぶりの水準に落ち込み、9年10ヶ月ぶりの下落率となりました。特に3月9~13日の週では過去最大の下げ幅を記録したのです。

しかしそこから日経平均株価は大きくリバウンド。コロナ禍前の水準にまで戻り、2021年2月には一時30年6ヶ月ぶりに3万円台に乗せるまでに回復しています。
その後上げ下げを繰り返しつつも2021年9月には約31年ぶりの高値を付けるなど、2021年を通して高水準で推移することになりました。

KOSPI(韓国総合株価指数)

韓国取引所に上場しているすべての銘柄を対象とした韓国総合株価指数「KOSPI(コスピ)」。
日経平均株価と同様、2020年3月には新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて「KOSPI」も大きく急落しました。しかしその後大きくリバウンドし2020年11月には3年ぶりに最高値を更新。ものすごい勢いで上昇が続き、2021年7月には史上最高値を記録、2021年中旬ごろまで過去最高値圏を推移してきました。

2021年11月 ビットコイン最高値770万円を記録

株式と同様2020年3月には新型コロナウイルスの影響を受けて価格が下落していたビットコインでしたが、2020年後半から徐々に上昇傾向に。
中国におけるビットコイン規制の影響から一時下落傾向を見せたものの、2021年11月には最高値となる約770万円を記録しました。

暗号資産投資が過熱する韓国では、他の国の取引所よりも価格が高くなる「キムチプレミアム」と呼ばれる現象があります。上乗せ価格によってさらに高値になることもあり、より暗号資産投資への過熱が増したと考えられるでしょう。

コロナ禍でも株価・暗号資産価格が上昇した理由

2020年から始まった新型コロナウイルスにより一時は大きな下落となった株式と暗号資産。そこから2021年に最高値を記録するほどの上昇傾向が現れたのはなぜでしょうか?
その理由として以下の項目が挙げられます。

  • 金融緩和
  • 給付金などの経済政策
  • 若者を中心とする個人投資家の増加
  • 米国株上昇の影響
  • 新型コロナワクチンの普及による景気回復の期待感

特に大きな影響を与えていると考えられるのが世界的な「金融緩和」です。新型コロナウイルスの影響による経済悪化からの回復を下支えするべく行われた大規模な金融緩和が、株価を押し上げる主な要因になったと考えられるでしょう。

【2022年】株価・暗号資産価格の急落

2021年、コロナ禍でも上昇傾向にあった株式・暗号資産ですが、2022年に入りその価格は一転急落することになります。その実態と原因を見てみましょう。

日経平均株価

2021年9月には約31年ぶりの高値を付けた日経平均株価でしたが、2022年に入り3月頭には2万4,000円台と昨年来の安値を付ける場面も。
直近である2022年9月の月次終値2万5,000円台など、2021年の急上昇に比べて下落傾向にあることが見てとれます。

KOSPI(韓国総合株価指数)

2020年後半から2021年中盤にかけて上昇が甚だしい勢いで過去最高値圏を推移してきたKOSPIでしたが、2021年後半から徐々に下落傾向に。2022年9月には史上最高値を記録した7月と比べて30.7%減の終値を記録する日も表れました。
時価総額では約509兆9,000億ウォンの減少となり、まさに急減の状況となっています。

2022年ビットコイン最高値から半値へ暴落

2021年11月には最高値約770万円を記録したビットコインでしたが、2022年以降その価格が急落。2022年6月には300万円台を割る暴落となり、半年で半値以下に落ち込んでいます。

韓国発暗号資産 テラの大暴落

韓国発の暗号資産である「テラ」は、1テラ=1ドルで価値が安定するよう設計された暗号資産の一種。
このステーブルコインの1種である「テラ」が、2022年5月初旬、市場から大量の資金が引き出されたことを受け1日で97%暴落、わずか1週間程度で価値を失う事態となりました。
テラの暴落は、その他の暗号資産にも値下がりの影響を与えています。

株価・暗号資産価格が急落した理由

2021年コロナ禍にもかかわらず価格の上昇を見せた株式・暗号資産が、2022年なぜ一転急落する事態となったのでしょうか?

考えられる理由として

  • 予想を上回る世界的な高インフレ
  • 世界的な金融引き締め、利上げ
  • ロシアのウクライナ侵攻による経済不安
  • アメリカをはじめ世界同時株安による不安感

などが挙げられます。

2020~2021年にかけ、景気悪化によって行われた大規模な金融緩和は、2022年に入って以降急速に広がるインフレ傾向を受け、世界的な金融引き締めへと一転しました。
日銀はいまだ金融緩和の姿勢を変えていませんが、世界的な主流は金融引き締めによる利上げの実行です。

世界的な利上げの影響は少なからず日本の金利にも影響を与えており、世界的な株安傾向は国内の投資家にも不安感を与えているといえるでしょう。

ウクライナ危機も相まって下落傾向となった株安の影響は暗号資産にも波及し、同時に下落傾向を見せているといえます。

大きな損失を抱えた若者たちの現状とは……?

コロナ禍における株価・暗号資産の高騰と急落。この大きな変動の波に飲まれ大きな損失を抱えた若者が急増しています。

コロナ禍で急増した若年層の個人投資家

コロナ禍で巣ごもり傾向が強まる中、若年層を中心に個人投資家が増加しました。
気軽にできるオンライン投資が普及したことも若者の投資への取り組み増につながったと考えられます。

日本証券業協会「個人株主の動向について」(2022年9月)によると、2019年から2020年、2021年にかけて20歳以上40歳未満の層が他の年齢層よりも大きく増えていることが分かります。

20歳以上40歳未満の個人株主は、2019年から2020年にかけて21.4%増、2020年から2021年にかけて13.6%増となっています。

同様に韓国でもコロナ禍で20~30代の個人投資家が急増、投資ブームが起きました。
2020年1~8月に大手証券会社で新規開設された口座のうち、20~30代が半数以上を占めるというデータもあります。
新型コロナウイルスの流行初期に株価が急落した際、優良銘柄を買い漁った投資規模の小さい個人投資家を「アリ」に例えて「東学アリ」などという言葉もできるほどの過熱ぶりでした。

このように、コロナ禍の価格上昇期に投資に参入した若者には価格急落の経験がありません。売買の経験や知識も浅く、ここ数年の高騰から急落への変化に対応できず、窮地に立たされているのです。

韓国の就職氷河期、高い失業率……将来への不安が投資への過熱に

韓国の若者がここまで株式や暗号資産への投資にのめり込む理由には大卒就職率の低さや高い失業率など将来への不安が大きいといえるでしょう。

韓国教育部と韓国教育開発院が公表した2020年の大学・大学院卒業者の新卒就職率は、調査開始以来過去最低となる65.1%でした。
さらに2021年における韓国の失業者全体のうち31%が15~29歳の若年層であることが分かっています。韓国政府が発表したデータによると、15~29歳の「拡張失業率(※)」は26.8%と非常に高い数値でした。

非正規雇用者も多く、経済的事情から結婚や出産、マイホーム、就職などを諦める「三放世代」「七放世代」などが登場するなど、韓国の若者の多くは経済的に非常に不安定であるといえます。

そうした若年層が将来不安の解消や一発逆転・一攫千金を狙って投資に乗り出し、昨今の投資過熱につながっているようです。投資で資産を増やす以外に、経済的な不安を解消する手立てがないのが実情といえるでしょう。

将来への不安は日本の若者においても同様です。公的年金に対する期待が乏しく、老後の不安を抱えている若者は多いもの。その不安はコロナ禍においてより増幅し、投資行動の後押しとなったと考えられます。

(※拡張失業率……国から発表される失業率に就職準備中の者、求職断念者、短期アルバイト、労働時間が週18時間未満の不完全就業者などを加えて算出された体感失業率のこと)

借金投資で苦しむ韓国の若者

先述の通り、新型コロナウイルスの流行初期に韓国の若者の間で起きた投資ブームは「借金してでも投資すべき」といわれ、投資のために借金をする若者が急増しました。
韓国では近年の家計債務の増加が問題視されており、その一因として投資のための借り入れが大きいと言われています。

しかし借金をして株式や暗号資産に投資したものも、価格急落によって負債だけが残る状況に。2022年上半期、20代の債務調整申請者は投資ブーム前の2019年より28%以上増えたというデータもあります。
株価や暗号資産の暴落後に負債を抱えて苦しんでいる若者が多いことが読み取れるでしょう。

一方日本では株式投資や暗号資産投資のために金融機関からお金を借りることはできません。
しかし詐欺グループに引っかかり「引越し代金」や「留学のため」など嘘の理由で金融機関や消費者金融から借金をさせられ、投資につぎ込むケースが見られています。
虚偽申告によるローン契約は不正利用にあたるため、お金をだまし取られた挙句ローンの一括返済を求められ自己破産に陥るケースもおきています。
特に暗号資産投資にはこうした詐欺事例が多く報告されています。

実際にあった詐欺被害の実例については、ぜひ以下の記事を参考にしてください。
AI投資、新型マルチ商法、暗号資産……投資詐欺で狙われる若者 自分を守るために知っておきたい最新詐欺事情とは?【前半】
若者が投資詐欺に狙われてる……!? 投資に興味津々の大学生がさまざまなウワサをネットで調べてみた!

うつ病など精神的に追い込まれる人も

株価や暗号資産の暴落によって大きな損失を被った人の中には、うつ病やパニック障害などに苦しみ、精神科を受診する人が増えているようです。投資の失敗によるストレスに関する医療機関への問い合わせや公的窓口への相談も増加。
韓国では20代のうつ病患者数がコロナ前と比べて大きく増加しているデータも見られています。

まとめ

現代の若年層は、従来よりも将来への不安感を強く持つ人が多いと言われています。その理由は、新型コロナウイルスの影響はもちろんのこと、老後の年金問題や少子化、人口減などさまざま。

こうした将来への不安を打開するための手段として、投資を選ぶことは悪いことではありません。
政府も「貯蓄から投資へ」の流れを後押ししており、今や公的年金に頼らず自助努力で資産を形成することが必要とされています。

ただし金融商品や投資に対する正しい知識や情報を持たずに、軽い気持ちで手を出すことは危険です。一発逆転を狙ったハイリスクな投資に初心者が手を出すのもお勧めできません。

まずはしっかりと投資のことを勉強しましょう。リスクや失敗した時の対応の仕方までしっかりと検討したうえで投資に取り組めるとよいですね。

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元記事:日本だけじゃない、お隣の国も!? コロナ禍の上昇期に集中した投資で悩める若者たちの現状とは?

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