トップ > おすすめコラム > 築古マンションが新築に!?マンション建替え決議の多数決要件緩和の審議がついに始まった
おすすめコラム 2023.01.20

築古マンションが新築に!?マンション建替え決議の多数決要件緩和の審議がついに始まった

本記事はLIFULL HOME’S 不動産投資からの寄稿記事です。

2022年9月12日に開催された法制審議会第196回会議にて、法務大臣から「区分所有法制の見直しに関する諮問第124号」が発せられました。区分所有法制の見直しとして、区分所有建物における建替え決議の多数決要件の緩和などの内容が触れられています。

そこで今回は、法制審議会や区分所有法制部会の資料を踏まえて、区分所有法制見直しの内容について解説します。法改正の動きがある背景についても解説しますので、分譲マンションに興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

区分所有法制の見直しについて

ここでは、法制審議会第196回会議の配布資料から区分所有法制の見直しについての方針を読み取ります。

建替え決議の多数決要件の緩和

分譲マンションの建替えにあたり、区分所有者の5分の4以上および議決権5分の4以上の賛成が必要とされています。今後老朽化したマンションが増えていくことが見込まれていますが、現状では建替え決議の多数決要件を満たすことは簡単ではありません。必要な建替えがスムーズに行われない可能性があることから、多数決要件の緩和が検討されているのです。

法制審議会第196回会議の配布資料の中では、建替え決議の多数決要件について次のような案が記載されています。

  • 多数決割合を単純に引き下げる
  • 一定の客観的要件(耐震性不足など)を満たした場合に多数決割合を引き下げる
  • 多数決割合を全員合意で緩和することを認める など

また、被災により大きなダメージを受けた区分所有建物に関しても、現状では一律に5分の4以上の賛成とされています。災害大国といわれるほど日本は自然災害の多い国であるため、被災した建物の再建を迅速に進めにくいことは大きな課題です。被災区分所有建物についても変更決議や復旧決議の多数決要件の緩和が検討されています。

決議は出席者による多数決とする仕組み作り

現状では、建替え等の決議において所在等不明の区分所有者や、集会に参加せず賛否も明らかにしない区分所有者は「反対」と同様に扱われます。そのため、さまざまな事情から賛否の意見を聴取できない区分所有者が存在する場合は、多数決要件を満たすことがさらに困難であるといえるでしょう。今回の配布資料の中では、公的機関関与の下で所在等不明の区分所有者を決議の母数から除外する仕組みや、出席者の多数決による決議を可能とする仕組み作りについて検討されています。決議が円滑に進められるような仕組みについて、今後も審議されていくでしょう。

その他、区分所有建物管理の円滑化、被災・老朽化した区分所有建物再建の円滑化に向けて、共用部分の変更決議要件の緩和や新たな財産管理制度、多数決による建物・敷地の一括売却や一棟リノベーション工事などの仕組みなども検討されています。法制審議会第196回会議では、新設の「区分所有法制部会」にて審議、その後改めて法制審議会の総会で審議するとされました。

区分所有法制の見直しについてさらに詳しく知りたい方は、法務省のWebサイトもあわせてご覧ください。
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi03500044.html
https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00004

区分所有法制見直しの主な背景

そもそも区分所有法制見直しの背景には、今後老朽化した区分所有建物の急増が見込まれていることがあります。

出典:「築後30、40、50年以上の分譲マンション数(2021年末現在/2022年6月28日更新)」

国土交通省が公表している「築後30、40、50年以上の分譲マンション数(2021年末現在/2022年6月28日更新)」によると、2021年末時点での築40年以上マンションは115.6万戸ですが、10年後の2031年末には2倍を超える249.1万戸、20年後の2041年末には425.4万戸と約3.6倍も増加する見込みとなっています。

さらに、区分所有者の高齢化が進むことにより、相続等により所在者不明化や区分所有者の非居住化が進行することも懸念点です。

出典:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果(平成31年4月26日公表) 」

上図によると、所在不明・連絡先不通の空室があるマンションは3.9%。その内、マンションの総戸数に対する所在不明・連絡先不通の住戸が20%超のマンションが2.2%となっています。

出典:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果(平成31年4月26日公表) 」

また、所在不明・連絡先不通の戸数割合を築年数別に見てみると、築年数が古くなるほど所在不明・連絡先不通の割合が増えていることが読み取れます。高経年区分所有建物の増加と区分所有者の高齢化により、所在不明・連絡先不通の割合がさらに拡大する可能性が考えられるでしょう。先ほども解説したように、所在不明・連絡先不通で賛否が明らかにならない場合は反対者と同様に扱われます。所在不明・連絡先不通の所有者が増えると円滑に決議が進まないことから、多数決要件の緩和が検討されているのです。

区分所有法制見直しの背景には、築年数経過による建物の老朽化に加えて、日本国内で自然災害が多発していることも挙げられます。以前より南海トラフ地震の可能性も指摘されており、被災により大きなダメージを受けた区分所有建物の再建を円滑に進められるような仕組み作りが差し迫って重要な課題だとされているのです。

国土交通省が公表するデータによれば、分譲マンションのストック戸数は年々増え続けています。今あるものを有効活用することは、地域の活性化にもつながるでしょう。2022年9月2日法務大臣閣議後記者会見の概要 では、「管理と再生の円滑化という要請の反面、それぞれの財産権をどう保護していくか」と言及しています。区分所有法制の見直しに向けた今後の動きにも注目です。

区分所有法改正で建替えは進むのか

実際に分譲マンションの建替えを行うためには、さまざまなプロセスを経る必要があります。建替えの準備段階から建替え完了まで、長ければ20年以上かかることも考えられるでしょう。建替えには所有者も費用の負担が必要となることから、負担の大小により賛否の考え方が大きく変わることが予想されます。高齢者世帯の場合は特に、費用面だけでなく引越しの手間も大きなハードルになる可能性も考えられます。建替えに反対する人の理由を確認して解決策を考えるなど、専門家の力も借りながら建替えを進めていく必要があるでしょう。

建替え決議で反対した所有者はマンション建替え組合に区分所有権の買取請求ができますが、買取請求をする反対所有者が多くて買い取りがうまく進まなければ、建替えの計画自体が止まってしまう可能性が考えられます。実際に分譲マンションの建替えをするとなると、単純な多数決要件の緩和だけでは解決できない問題もあります。分譲マンションの管理・再生を円滑に進めるための仕組み作りについて、今後の展開に注目していきましょう。

今後も区分所有法に関する審議を見守っていこう

今後老朽化した分譲マンションが急増すること、日本は自然災害が多いことなどから、分譲マンションの管理・再生を円滑に進めるために区分所有法制の見直しが検討されています。たとえば、マンション建替え決議の多数決要件緩和や所在不明・連絡先不通等により賛否不明の区分所有者を決議の母数から除外することなどです。どのような要件であればマンションの管理・再生が円滑に進むのか、幅広い視点からの議論が期待されています。今後も区分所有法に関する審議を見守っていきましょう。

元記事:築古マンションが新築に!?マンション建替え決議の多数決要件緩和の審議がついに始まった

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部
この記事を書いた人

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資は、不動産投資・収益物件の検索から不動産投資セミナーやイベント運営を実施。
不動産投資にまつわる新鮮な情報、トレンドを発信。
LIFULL HOME'S 不動産投資には不動産投資の知識・アイディア・ヒントが盛りだくさん。

この記事をシェアする

関連情報 TIPS

メールマガジンで
お得な情報をキャッチ!

メールマガジンでお得な情報をキャッチ!
  • キャンペーン・セミナー情報をお知らせ
  • 新着ファンドや募集終了間際のファンドをお知らせ
  • 各種イベントの優先的なご案内
  • 最新トレンド・不動産クラウドファンディングニュース
メルマガ会員登録はこちら