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おすすめコラム 2022.11.17

相続税の対象はいくらから?【計算方法・税金対策・確定申告の期限など】

本記事はLIFULL HOME’S 不動産投資からの寄稿記事です。

相続税は、課税対象の遺産額が基礎控除額を超えた場合にかかる税金です。

基礎控除額とは、相続税の計算上「この金額以下なら税金がかかりません」と決められた部分を指します。

基礎控除額は法定相続人(相続する権利を持つ人)の数によって異なり、1人の場合は3,600万円です。つまり、相続した財産が3,600万円以下であれば、基本的に相続税がかかりません。

また、相続税には複数の特例があるため、相続した財産が3,600万円を超えても税金がかからないケースがあります。

ここでは、相続税の仕組み、計算方法、税金対策といった相続時に役立つ情報を、図解を用いてわかりやすく解説しています。

相続税はいくらから課税対象になるの?遺産総額・遺産額とは?

「相続税はいくらから課税対象になるの?」

結論のみをお伝えすると、次の計算式で算出した遺産額が3,600万円を超えた場合に、相続税の課税対象になります。

C遺産額=A相続税の対象となる遺産総額-B債務・葬式費用等

相続税は、相続した財産の全額(上図A)が課税対象になるのではなく、上記の計算で算出した遺産額(上図C)を基準に計算する仕組みです。

ただし、先ほどお伝えした3,600万円という基準は、法定相続人が1人だった場合の基準です。この基準は、相続税を計算する際の基礎控除額を指し、法定相続人の数が増えるほど基準額が高くなります。

法定相続人と基礎控除額については後ほど解説しますので、まずは相続税の計算の基準となる遺産額(上図C)について理解を深めましょう。

また、遺産額の全てが相続税の課税対象になるのではなく、上図Cの金額からさらに所定の計算をした上で税額を算出する仕組みです。

相続税が生じた場合でも、特例によって実質の納税義務が生じないケースもあります。財務省の調査では、令和元年に相続税が課税されたケースは、亡くなった方の約8%でした。

出典:財務省ウェブサイト

相続税の対象となる遺産総額とは?

遺産額(上図C)を計算する際の大元となる遺産総額(上図A)には、以下の財産が含まれます。

【遺産総額】
・被相続人(亡くなった方)が亡くなった時点で所有していた財産
例:不動産(土地・建物)、金融資産(株式、債券)、預貯金
・みなし相続財産
例:生命保険金、退職金
・相続時精算課税財産(生前贈与にて取得した財産のうち、相続時精算課税制度を利用して取得した財産)
・被相続人から相続開始前3年以内に贈与された財産

債務・葬式費用等とは?

遺産額(上図C)を計算する際に控除できる債務・葬式費用等(上図B)には、以下のものが含まれます。

・債務
例:借入金、未払金、被相続人が納める予定だった税金
・費用
例:お寺・葬儀社への支払い、お通夜にかかった費用

【相続税の計算方法】図解と5つのステップでわかりやすく解説

相続税を計算する際の全体像は、以下の通りです。

STEP1:遺産額を計算する(遺産総額-債務・費用)
STEP2:課税遺産総額を計算する(遺産額-基礎控除額)
STEP3:課税遺産総額を法定相続分で按分する
STEP4:STEP3に税率を掛けて、相続税の総額を算出する
STEP5:相続税の総額を実際の相続割合で按分する

相続税の計算方法は少々複雑なため、ここでは図解を用いて解説しましょう。

STEP1:遺産額を計算する

前章で解説した通り、遺産総額から債務・葬式費用等を控除して遺産額を計算します。

STEP2:課税遺産総額を計算する

遺産額(STEP1)から基礎控除額(下記参照)を差し引いて、課税遺産総額(STEP2)を計算します。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)


基礎控除額は、法定相続人の数によって変動する仕組みです。

法定相続人の数法定相続人の数
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円

法定相続人とは、配偶者・子・父母など、法律上で相続する権利を持つ人を指します。

相続税は、課税遺産総額(STEP2)から算出する税金ですので、ここでプラスが生じない場合、課税されません。

STEP3:課税遺産総額を法定相続分で按分する

課税遺産総額(STEP2)を法定相続分で按分(STEP3)します。

法定相続分とは、被相続人との関係性によって割り当てられた法定相続人の取り分です。法定相続分の割合は、以下の通り被相続人と相続人の関係性によって異なります。

被相続人との関係性相続順位被相続人との関係性法定相続分
配偶者常に相続人他の相続人との差
第1位2分の1
直系尊属※第2位3分の1
兄弟姉妹第3位4分の1
※父母または祖父母

【法定相続分の具体例】

法定相続人関係性法定相続分
配偶者・子1人それぞれ2分の1
配偶者・子2人配偶者2分の1
それぞれ4分の1※
配偶者・相続人の父配偶者3分の2
3分の1
配偶者・相続人の妹配偶者4分の3
3分の1
※子の法定相続分は2分の1ですが、2人いる場合は2分の1を2人で分けます。(2分の1×2分の1)

たとえば、課税遺産総額(STEP2)が1億円の場合、法定相続人が配偶者と子であれば、法定相続分はそれぞれ2分の1ずつです。法定相続分で按分すると5,000万円ずつになります。(STEP3)

子・直系尊属・兄弟姉妹が複数人の場合は、法定相続分を人数で按分します。

たとえば、上記の表のように子が2人いる場合、子の法定相続分である2分の1をさらに2分の1に按分する仕組みです。課税遺産総額(STEP2)が1億円であれば、配偶者5,000万円、子2,500万円×2人が法定相続分で按分した金額(STEP3)です。

STEP4:相続税の総額を算出する

STEP3で按分した法定相続分を基準に、それぞれの相続税額を算出します。

【相続税の計算方法】
相続税=法定相続分で按分した金額(STEP3)×税率-控除額※
※ここでの控除額は、STEP1の基礎控除額とは別物です。(下記参照)

【相続税の税率と控除額】

法定相続分で按分した金額
(STEP3)
税率控除額
1,000万円以下10%
1,000万円超え3,000万円以下15%50万円
3,000万円超え5,000万円以下20%200万円
5,000万円超え1億円以下30%700万円
1億円超え2億円以下40%1,700万円
2億円超え3億円以下45%2,700万円
3億円超え6億円以下50%4,200万円
6億円超え55%7,200万円
参考元:国税庁 相続税の税率

上記の計算で算出したそれぞれの合計額が、相続税の総額です。

【税額計算の具体例】
条件:法定相続人が配偶者と子2人の合計3人、課税遺産総額(STEP2)7,000万円

法定相続人が配偶者と子2人の場合、配偶者の法定相続分は2分の1、子の法定相続分はそれぞれ4分の1です。法定相続分で按分した金額(STEP3)は、配偶者3,500万円、子1,750万円×2人になります。

配偶者3,500万円=7,000万円×2分の1
子1,750万円=7,000万円×4分の1

<配偶者の相続税額>
配偶者の相続税額500万円=3,500万円×税率20%-控除額200万円

<子の相続税額>
子1人の相続税額212.5万円=1,750万円×税率15%-控除額50万円
子2人の相続税額425万円=212.5万円×2人

<相続税の総額>
相続税の総額925万円=配偶者の相続税額500万円+子2人の相続税額425万円

STEP5:実際の相続割合で按分する

STEP4で計算した相続税の総額を、実際に取得した相続割合で按分します。ここでは、STEP4で解説した具体例を用いて計算しましょう。

条件:法定相続人が配偶者と子2人、相続税の総額925万円を法定相続分で相続したと仮定

ここでは法定相続分通りに相続したと仮定するため、配偶者2分の1、子4分の1ずつで按分します。配偶者と子の納税額は以下の通りです。

配偶者の納税額462.5万円=相続税の総額925万円×2分の1
子1人の納税額231.25万円=相続税の総額925万円×4分の1

ここでは特例を考慮していないため税額が算出されましたが、実際は特例によって納税義務が生じない可能性があります。相続時の特例について、次の章から解説しましょう。

相続税の主な特例(配偶者控除など)

配偶者が相続する場合、取得した遺産額が以下のいずれかのうち高い金額までであれば相続税がかかりません。

・1億6,000万円
・法定相続分相当額

この特例の対象となる遺産は、相続税の申告期限までに遺産分割等により実際に取得した財産です。特例の適用には確定申告が必要ですので、忘れずに手続きしましょう。

その他、配偶者控除以外にも「未成年者控除」や「障害者控除」など複数の特例がありますので、利用できる控除について調べておくと相続時に役立ちます。

【相続税の確定申告】期限はいつ?

相続税の納税義務が生じる場合や特例を利用する場合、以下の期限内に確定申告が必要です。

【確定申告の期限】
相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内

相続財産の種類によって利用できる特例

相続財産の評価方法は、財産の種類によって異なります。たとえば、預貯金は原則、預入残高と利息の合計額、建物は固定資産税評価額が評価の基準です。

財産の種類によっては軽減措置(相続税の負担が軽くなる措置)が取られているものがあり、代表例は土地や生命保険です。

ここでは、土地や生命保険等の特例について解説します。

小規模宅地等の特例

被相続人がマイホームや事業のために利用していた土地のうち、一定の面積までは評価を減額できます。

土地は1m2当たりの価額×面積で価値を計算するため、面積が広い土地ほど評価額が高くなり、相続税の負担が重くなります。

小規模宅地等の特例によって土地の評価を減額することで、相続税の負担が軽くなる仕組みです。

【減額できる一定の面積とは?】
小規模宅地等の特例で減額できる面積や割合は、土地の用途によって異なります。

用途減額の対象となる面積減額割合
居住用330m280%
貸付事業用宅地200m250%

たとえば、マイホームが建っていた土地の面積が300m2、1m2当たりの評価額30万円の場合、同特例によって評価額が7,200万円下がります。

<特例の適用なし:評価額9,000万円>
評価額9,000万円=30万円×300m2

<特例適用あり評価額1,800万円>
減額される金額7,200万円=30万円×300m2×80%
評価額1,800万円=本来の評価額9,000万円-7,200万円

生命保険・退職金の軽減措置

相続財産に生命保険や退職金が含まれる場合、一定の金額まで非課税になります。非課税の限度額は、500万円に法定相続人の数を乗じた金額までです。

非課税限度額=500万円×法定相続人の数

例:法定相続人が配偶者と子(計2人)の場合、相続した保険金額から1,000万円が控除されます。(500万円×2人)

相続税のシミュレーションは専門家への相談がベター

ここでは相続税の計算方法や特例について解説しましたが、相続税の仕組みは少々複雑です。個別のケースによって利用できる特例が異なり、対象の財産によっては遺産総額の算出自体が困難です。

たとえば、土地や建物は唯一無二の資産であるため、同じ地域でも土地や建物の状態、周辺環境などによって評価額が異なります。いくらの価値があるのかを個人で判断するのは難しいため、不動産会社へ相談しましょう。

相続時に利用できる特例はここで紹介したもの以外にも複数あり、どの選択肢が正しいかは人によって異なります。相続人同士でしっかりと話し合い、税理士など専門家へ相談することが大切です。

事前に知識を深めておくと万が一の時に役立ちますので、セミナー等へ参加して情報収集するもの手です。LIFULL HOME‘Sでは、不動産の活用による税金対策等のセミナー情報をご紹介していますので、この機会にぜひご覧ください。
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元記事:相続税の対象はいくらから?【計算方法・税金対策・確定申告の期限など】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部
この記事を書いた人

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資は、不動産投資・収益物件の検索から不動産投資セミナーやイベント運営を実施。
不動産投資にまつわる新鮮な情報、トレンドを発信。
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