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初心者向け 2022.09.07

SPCを活用した不動産クラウドファンディングの仕組みやメリット、対応している事業者は?

LIFULL 不動産クラウドファンディング編集部です。

SPCは特定の事業のために設立された法人です。不動産クラウドファンディングでもSPCを活用することがありますが、比較的最近になって登場した方法のため、SPCを使う理由やメリットについてはあまり知られていません。

この記事では、SPCを使う不動産クラウドファンディングの仕組みやメリットなどについて解説します。また、SPCを使った不動産クラウドファンディングに投資できる事業者も紹介しますので、参考にしてみてください。

SPCを使った不動産クラウドファンディングの仕組み

SPC(特別目的会社)は、特定の事業のために設立され、事業実態がない法人です。投資においては、資産を証券化したり、資産と企業を切り離したりするためにあえてSPCを活用することがあります。ここでは、SPCの概要やSPCを活用して不動産クラウドファンディングを運用する仕組みを解説します。

SPCとは

SPCとは、Special Purpose Companyの略であり、日本語では特別目的会社とも呼ばれます。特定の目的のために企業によって設立されるSPCは、事業活動を行うことができません。いわゆるペーパーカンパニーであるSPCは、資産と企業を切り離すために使われることが多く、投資においては不動産の証券化や債券の発行などによく利用されています。

不動産クラウドファンディングにおいては、SPCを利用する場合、不動産の所有者が不動産クラウドファンディング運営事業者ではなく、SPCとなるのが特徴です。すなわち、SPCと不動産クラウドファンディング運営事業者には、以下のような関係があります。

SPC:
不動産の所有者であり、報酬を払って不動産の運用を運営事業者に委託する
金融市場から資金を調達する際の主体となる

不動産クラウドファンディング運営事業者:
SPCから委託を受け、投資家の募集や不動産の運用を行う

図で表すと以下のようなイメージとなります。

特例事業スキームとは

不動産特定共同事業法(以下、不特法)に基づき、SPCを使って不動産を証券化する方法を特例事業スキームと呼びます。特例事業スキームでは、投資家は不動産クラウドファンディング運営事業者が設立したSPCと匿名組合契約を結びます。

不特法のもと、SPCを利用した不動産クラウドファンディングを運用するためには、運営事業者は3号および4号事業者としての許可を取得しなければいけません。3号および4号事業者として許可を得るには、さまざまな要件を満たす必要があります。

SPCを使った不動産クラウドファンディングの運用開始までの流れ

特例事業スキームで不動産クラウドファンディングを運用できるのは、事前に不特法における3号事業者および4号事業者としての許可を取得した事業者です。事業者としての許可は、それぞれ以下のような事業を行うために必要です。

なお、3号および4号事業者には以下のような違いがあります。

3号事業者:SPCから委託を受けて、ファンドの資産運用を行う

4号事業者:SPCから委託を受けて、ファンドの募集業務を行う

SPCを使った不動産クラウドファンディングの運用を開始するために、まず不動産クラウドファンディング運営事業者(以後、運営事業者)は、3号および4号事業者としての許可を取得します。続いてSPCを組成し、4号事業者として投資家を募集します。

ファンドの運用開始時に、投資対象不動産を取得するのはSPCです。しかし、SPCは事業実態を持たないため、不動産を所有しても運用はしません。実際に不動産を運用するのは、3号事業者の許可を得ている運営事業者です。運営事業者は、SPCから委託されて不動産を運用し、SPCは不動産管理手数料として報酬を支払います。なお、このSPCから払われる報酬が、投資家への分配の原資となります。

SPCが不動産クラウドファンディングで利用できるようになった経緯

不動産クラウドファンディングに関するさまざまなルールを定めている不特法は、より投資しやすい環境を整えるため、たびたび改正されています。2013年の改正では、不動産クラウドファンディング運営事業者以外でも投資対象不動産の保有ができるようになり、SPCを使った「特例事業スキーム」が可能になりました。

SPCを通じた不動産保有を可能にすることで、投資家は運営事業者の倒産リスクから切り離され(倒産隔離)、投資家が負うリスクは不動産に関わるものに限定されます。投資家にとって不動産クラウドファンディングのリスクが軽減することで、投資が促進されると期待されています。

SPCを利用するメリット・デメリット

SPCを使った不動産クラウドファンディングは、不動産クラウドファンディング運営事業者がSPCを介さず、直接不動産を管理する方法よりも複雑な手続きが必要です。不動産クラウドファンディングにおいて、あえてSPCを利用することによるメリットとデメリットを見てみましょう。

メリット:倒産隔離で資産が守られる

投資家にとって、SPC利用による最大のメリットが、不動産という資産と不動産クラウドファンディング運営事業者を切り離すことで、万が一のときに資産が守られる可能性が高まることです。

不動産クラウドファンディング運営事業者には分別管理の義務があるため、事業者と投資家の資産は明確に区別されて管理されています。しかし、SPCを使わない事業者の場合、分別管理の方法によっては万が一運営事業者が倒産・破たんした際に、投資家の資産も差し押さえられてしまう可能性があるのです。

> 不動産クラウドファンディングにおける分別管理とは?元本保証との違いは?

SPCを使う場合は、事業者の倒産・破たんがあっても投資家の資産は守られます。これが倒産隔離と呼ばれる、SPCを利用することによるメリットです。

ただし、SPCを使う場合でも、市場環境の変化や災害などによって不動産の価値がなくなるなど、事業者の倒産・破たん以外の不動産に由来するリスクは残ります。

デメリット:対応している事業者が少ない

投資家にとって、SPCを利用することによる倒産隔離のメリットは大きく、反対にデメリットはほとんどないといえるでしょう。しいていえば、SPCを使った特例事業スキームに対応している事業者が少ないため、選択肢が少ないことがデメリットとして挙げられます。

不動産クラウドファンディングでSPCを活用するには、不特法の第3号および第4号事業者としての許可取得の手間がかかるうえ、専門家による不動産価値の評価などのコストも必要です。これらが、不動産クラウドファンディング運営事業者にとってSPCを活用するハードルを高くしていると考えられます。

SPCを利用しているする不動産クラウドファンディング運用事業者とは

不動産クラウドファンディングに投資するのであれば、SPCを利用した案件を選びたいと考える方もいるでしょう。そこで、ここではSPCを使った不動産クラウドファンディング案件を取り扱っている事業者として、

  • TREC FUNDING(トーセイ不動産クラウド)

を紹介します。

トーセイ株式会社によるTREC FUNDINGは、2022年8月時点では日本で唯一、不特法に基づくSPCを活用した不動産クラウドファンディング案件を提供する事業者です。以下にTREC FUNDINGの概要をまとめました。

サービス名TREC FUNDING(トーセイ不動産クラウド)
運営会社トーセイ株式会社(東証プライム上場)
サービス開始2020年3月
サービスの特徴東京経済圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)を対象に、不特法に基づくSPCを利用した不動産クラウドファンディング事業を運営

2020年3月にサービスを開始し、2022年8月までに5件の不動産クラウドファンディングを募集した実績があります。

> TERC FUNDINGの詳細を見てみる

> TREC FUNDINGの取り扱いファンドを見てみる

まとめ

SPC(特別目的会社)を使った不動産クラウドファンディングには、SPCが不動産の所有者となることで投資家の資産を運営事業者から切り離し、万が一運営事業者が倒産した場合などに資産が守られる(倒産隔離)というメリットがあります。

2022年8月時点ではSPCを活用している不動産クラウドファンディング運営事業者は限られていますが、今後、対応する事業者は増える可能性があるでしょう。

> 募集直前・募集中のファンドはこちら

LIFULL 不動産クラウドファンディング編集部
この記事を書いた人

LIFULL 不動産クラウドファンディング編集部

金融分野全般に視野が広いライターと、不動産クラウドファンディングに精通した校閲メンバーにて構成。投資家目線のわかりやすい記事を届けることをモットーに、不動産クラウドファンディングを中心とした投資お役立ち情報をお届けします。

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