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ソーシャルレンディング 2021.12.09

【ソーシャルレンディングの市場規模と将来性】日本とアメリカ・世界市場との比較や今後の見通しまで

ソーシャルレンディングは注目度が高い資産運用方法のひとつですが、市場規模はどれくらいなのでしょうか。株や投資信託などの既存の金融市場に比べるとソーシャルレンディングの市場はどれくらいの大きさなのか、多くの人が利用しているのかどうかが気になりますね。

この記事では、ソーシャルレンディングの市場規模や世界との比較、今後の将来性についてくわしく解説します。

日本のソーシャルレンディングの市場規模はどれくらい?

日本のソーシャルレンディングの市場規模は、クラウドファンディングの市場調査によると1,186億円(2020年度)となっています。また、不特法型や株式投資型など、他の種類のクラウドファンディングの市場規模は以下となっており、ソーシャルレンディングの市場規模が一番大きいことがわかります。

クラウドファンディング種別市場規模
融資型
(ソーシャルレンディング)
1,125億円
不特法型(不動産型)60億円
株式投資型9.2億円
購入型(寄付型含む)501億円

ソーシャルレンディング市場そのものの規模の推移は以下となっており、2017年から2018年にかけて30%以上市場が拡大しています。

年度市場規模
20171,316億円
20181,764億円 (前年度比:+448億円)
20191,113億円 (前年度比:-651億円)
20201,125億円 (前年度比:+12億円)

2018年に起こったソーシャルレンディング営業者の不祥事などにより、2019年と2020年の伸び率は低下していますが、それでも1,000億円以上の市場規模を維持しています。

このように、クラウドファンディングの中では、ソーシャルレンディングは一番大きく、一定の市場規模があることがわかります。

ソーシャルレンディング市場と銀行融資残高との比較

ソーシャルレンディングは近年登場した、比較的新しい手法のひとつです。それでは、昔からある日本の金融市場の規模と、ソーシャルレンディング市場の規模では、どれくらいの違いがあるのでしょうか。

ソーシャルレンディングは、「投資家のお金を企業に間接的に融資する」仕組みであり、銀行の業務と似ているところがありますので、まずは銀行の融資業務の規模と比較してみましょう。

銀行や信用金庫などの金融機関の融資残高は以下となっています。

金融機関2021年9月末残高
銀行500兆8,402億円
信用金庫76兆2999億円
合計577兆1,401億円

ソーシャルレンディングの規模は1,000億円ほどですが、金融機関の融資の規模は非常に大きく、銀行と信用金庫の合計で約577兆円となっています。融資残高が大きいということは、資金を必要としている個人や企業が多く、融資が活発に行われていることを示しています。

銀行の融資は企業向け・個人向けの合計のため、企業向けのみのソーシャルレンディングと単純に比べることはできません。

しかし、日本における融資業務の規模が大きいことから、ソーシャルレンディングにはまだまだ伸びしろがあると判断できます。

ソーシャルレンディング市場と株式市場との比較

ソーシャルレンディングは、「資産運用方法のひとつ」という側面もありますので、次に代表的な資産運用方法のひとつである株式との比較をみてみましょう。

日本の株式投資の市場の規模は以下となっており、銀行の融資残高と同様に、非常に大きな規模であることがわかります。

時価総額
東証合計約771兆5,300億円
マザーズ約9兆5,300億円
ナスダック約10億7,900億円
(2021年9月末時点)

年金だけでは老後の生活が厳しいという現状もあり、資産運用をはじめる人が増えているものの、株式は価格変動があることから、比較的投資リスクが高いという問題があります。

それに比べると、ソーシャルレンディングは貸し倒れなどのリスクはあるものの、「定期的に分配金を得て、満期時には元本が返還される」という特徴があるため、株式投資に比べると比較的リスクが低く、初心者でも始めやすくなっています。

今後ソーシャルレンディングという方法が認知されていけば、「リスクが低い運用をしたい」「少額から気軽に投資を始めてみたい」という層を取り込める可能性があります。このようなことから、ソーシャルレンディングが今後も継続して拡大する可能性は十分にあると考えられます。

日本と世界のソーシャルレンディングの市場規模の違い

ソーシャルレンディングの仕組みは海外で生まれた資金調達方法のため、世界におけるソーシャルレンディング市場の規模はすでに大きく、2019年には約670億ドルの規模になっています。(1ドル114円の場合、約7兆6,300億円)。また、2027年には5580億ドル(1ドル114円の場合は、約63兆6,000億円)の市場規模になるとの予想もあります。

ソーシャルレンディングはアメリカやヨーロッパで活発に利用されている資金調達方法ですが、なぜ大きな市場に成長したのでしょうか。アメリカを例にみていきましょう。

アメリカでソーシャルレンディングが発達した理由

アメリカでソーシャルレンディングが発達したきっかけのひとつは、リーマンショックです。リーマンショックは、低所得者向けの住宅ローン(サブプライムローン)を証券化して販売していたリーマンブラザーズが、住宅バブルの崩壊で約64兆円という大規模な負債を抱え、最終的に破綻したことが原因とされています。

リーマンブラザーズの破綻がその他の大手金融機関の経営危機を招き、最終的に大きな金融危機であるリーマンショックへとつながりました。

この金融危機では多くの銀行が経営危機に見舞われたため、リーマンショック以後は、金融機関が融資の審査基準を大幅に引き上げ、融資審査に落ちてしまう企業が増えました。また、銀行が融資の基準を厳しくしたことから、すでにある程度融資を受けている企業は、追加の資金を借りにくくなりました。そこで、オバマ大統領は中小企業の資金調達を後押しする「JOBS法」に署名し、投資家から直接資金を集めるソーシャルレンディングの手法が広がりました。

このことにより、ソーシャルレンディングを活用する企業は金融機関を介さずに、厳しい審査なしでお金を借りられるようになりました。特に、起業から日が浅く実績が乏しいスタートアップなどは金融機関からお金を借りにくい状態が続いていましたが、ソーシャルレンディングによって資金調達がしやすくなりました。

また、アメリカではお金を借りたい個人が「個人間融資(P2Pレンディング)」と呼ばれる仕組みを使って、お金を貸して運用したい個人から融資を受ける例が多くあります。アメリカをはじめとした海外では、銀行口座を持っておらず、そもそも「銀行からお金を借りる」ことができない人も多くいます。このような人々も、ソーシャルレンディングの個人間融資を利用すれば簡単にお金を借りられることから、利用者が増えているのです。

このように、リーマンショックで金融機関からお金を借りる企業が増えたこと、銀行口座を持たない人が一定数いたことが、アメリカでソーシャルレンディング市場が拡大した要因と考えられています。

日本のソーシャルレンディング市場と個人間融資サービス

日本でも、アメリカと同様に思うように資金を借りられない企業も多いことから、ソーシャルレンディングを活用した資金調達方法が広がりをみせています。

ただ、現在の日本では、アメリカで活発に行われている個人間融資サービスは提供されていません。

日本でも2008年当初はソーシャルレンディング営業者の「maneo」が個人間融資サービスを提供していましたが、延滞が多数発生するなどし、2011年には個人融資事業からの撤退を表明しました。その後「maneo」は不祥事で行政処分を受け、ファンド募集そのものができなくなっています。

個人間融資は延滞が発生するリスクが高く、「maneo」以降は、投資家保護の観点から参入している企業はありません。ただし、今後投資家のリスクを低減できるような仕組みが確率されれば、海外と同様に「銀行を介さずにお金を借りられる方法」として個人間融資サービスが提供され、個人の借り手が増える可能性があります。

このように、日本のソーシャルレンディング市場はアメリカをはじめとした海外市場に比べるとまだまだ小さいものの、伸びしろが大きいと考えられます。

日本のソーシャルレンディングの不祥事と今後の見通し

日本のソーシャルレンディング市場は1,000億円規模を維持していますが、今までに社会問題となるような不祥事がいくつか発生しています。代表的なものは1998年に起こったソーシャルレンディング営業者「maneo」の不祥事と、2021年に起こったSBIソーシャルレンディングの不祥事です。それでは、それぞれの不祥事についてくわしくみていきましょう。

maneoの不祥事

株式会社maneoは2018年当時、国内の最大手として多くの募集実績を持っていたソーシャルレンディング営業者です。パチンコ店の設備資金を集めていた「クラウドリース」は、maneoのプラットフォームを利用して、年利10%以上という高い利回りでファンドを募集しており、投資家から高い人気を誇っていました。

しかし、2018年7月、maneoが関東財務局から「ファンドの取得勧誘に関して、虚偽の表示があった」として、業務改善命令を受けます。そして、2019年4月にはクラウドリースが、全ファンドの出資金の返済停止をmaneoに通知し、その後返済の延滞が続きました。

最終的には、maneoがクラウドリースの破産を申し立て、破産手続きが続いていますが、maneoとクラウドリースの主張が対立しており、解決には至っていません。

クラウドリースの債権者は約3,800人、ファンドの延滞総額は56億円に達していますが、どれくらいの資金が投資家に返還されるかということは、不透明なままとなっています。

SBIソーシャルレンディングの不祥事

大手金融グループ「SBIホールディングス」の子会社で、2021年の段階でソーシャルレンディング業界最大手とされていた「SBIソーシャルレンディング」は、2021年5月にソーシャルレンディング事業から撤退することを発表しました。

その原因は、融資先の不祥事です。SBIソーシャルレンディングの融資先であった「テクノシステムズ」が、貸付金(投資家からの出資金)を事前の計画通りに使用していなかったことが問題となりました。また、資金使途を確認する義務があったSBIソーシャルレンディングが確認義務を怠っていたことも発覚し、ずさんな業務実態が明らかになりました。

テクノシステム社は、太陽光発電やバイオマス発電といった事業に使うという名目でSBIソーシャルレンディングを通じて投資家から資金を調達していましたが、2021年はじめには、すでに事業が行き詰っていたことが明らかになっています。

また、テクノシステム社は借入金を他に横流ししたことも発覚しており、テクノシステム社は貸し倒れに陥る可能性が高いと判断されました。テクノシステムズは金融機関から約11億円超を詐取したとして、代表者たちが逮捕されていますが、SBIソーシャルレンディングを通して個人投資家から300億円以上を調達しており、このお金の返済のめどはたっていません。

そこで、SBIソーシャルレンディングの親会社であるSBIホールディングスは、約150億円の特別損失を計上し、投資家への出資金返還に取り組むことを発表しています。

このように、ソーシャルレンディング営業者が「融資先企業が借り入れたお金を当初の予定通りの目的で使っているのか」「経営状態は良好なのか」等を確認する義務を怠ると、投資家のリスクが増大してしまいます。

SBIソーシャルレンディングの件では、例外的な措置としてSBIホールディングスが投資家の損失補填を行うかたちになりましたが、通常はそのようなことは行われません。融資先企業がなんらかの理由で返済を怠ったり、返済不能に陥ると、投資家の出資金が返還されない可能性が高くなります。

このように、SBIホールディングスのような大きな企業の子会社であっても、このような不祥事が起きています。海外と比較すると、ソーシャルレンディング市場はまだまだ成長途上で市場が拡大する可能性が高いといえますが、投資をする際にはリスクをしっかりと理解し、慎重に検討しましょう。

ソーシャルレンディングのリスクについては、以下の記事でもくわしく説明していますので、参考にしてください。

ソーシャルレンディングのリスクとは?注意点やファンド選びのポイント

【注目が高まるAIスコアレンディング】ソーシャルレンディングに導入される可能性も

ソーシャルレンディングは、英語では「Peer to Peer Lending(P2Pレンディング)」と表記されます。海外では、P2Pレンディングで投資家の資金を企業だけでなく、個人にも融資できます。そして、この「個人間融資」の市場が海外で大きな割合を占めています。

日本と海外のソーシャルレンディングの大きな違いは、個人間融資が行われているかどうかです。海外では、銀行口座を持っていない人や銀行の審査に通りにくい人が多いということもあり、個人から個人へ資金を貸す「個人間融資」が活発に行われていますが、日本では個人間融資サービスは提供されていません。

日本では貸金業法の規制で貸付を繰り返し業(商売)として行うには登録が必要です。そのため、日本のソーシャルレンディングでは「貸金業者であるソーシャルレンディング営業者と投資家が匿名組合契約を結ぶ」という仕組みにより、個人が直接貸付をしない形をとっています。個人と個人が直接お金をやり取りする「個人間融資」の解禁までは、道のりは長いと考えられています。

ただし、今後貸金業法などの法律改正が行われれば、日本でも海外と同じように、個人対個人でお金を貸し借りする「個人間融資(P2Pレンディング)」が活発に行われていく可能性もあります。

ここで、海外で注目が集まっているのがAIを使って顧客の信用情報を審査する「AIスコアレンディング」です。

個人は企業と違い、財務諸表や決算等を開示しないことから「問題なく返済できる人かどうか」を客観的に判断する基準がありません。そのため、個人間融資では、融資先の人の信用情報をどのように判断するのかが重要となっています。このようなときにAIスコアレンディングで個人の与信情報が自動的かつ信頼性が高い状態で精査できるようになると、個人対個人の融資も行いやすくなると考えられます。

また、既存の金融機関も、住宅ローンをはじめとした個人向けの融資に、このような仕組みを活用する可能性もあります。

今後AIスコアレンディングの仕組みが幅広く認知されると、さまざまなかたちの「ソーシャルレンディング」が広がり、投資家の選択肢が増えていく可能性もありますので、今後の動向を注視していきましょう。

まとめ

日本のソーシャルレンディングの市場規模は1,000億円以上を維持しており、今後の伸びしろも大きいと考えられます。また、海外ではすでにソーシャルレンディング市場が大きく拡大しており、企業・個人ともにさまざまなかたちで資金調達がしやすくなっています。

ただし、ソーシャルレンディングでは貸し倒れのリスクがあり、場合によっては元本割れする可能性もありますので、投資をするときには慎重に検討しましょう。

ソーシャルレンディングについてより詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
ソーシャルレンディングとは?くわしい仕組みやメリットデメリット・注意点を解説
ソーシャルレンディングのリスクとは?注意点やファンド選びのポイント

この記事を書いた人

LIFULL不動産クラウドファンディング編集部

金融分野全般に視野が広いライターと、不動産クラウドファンディングに精通した校閲メンバーにて構成。投資家目線のわかりやすい記事を届けることをモットーに、不動産クラウドファンディングを中心とした投資お役立ち情報をお届けします。

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