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不動産クラファン入門 2021.12.03

【不動産クラファン入門】ファンドのオープンエンド、クローズドエンドとは?

不動産クラウドファンディングはインターネットを通じて不動産に少額出資を行い、運用益を分配金として受け取ることができる投資手法です。このコラムでは不動産クラウドファンディング初心者が投資の際につまづきやすいポイントをテーマに解説します。
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ファンドの募集の仕組みとしてオープンエンド型とクローズドエンド型があります。小額投資非課税制度(NISA)の対象商品としておなじみの投資信託(投信)など、日本ではこうした個人向けの投信の多くがオープンエンド型の商品となっています。一方、クローズドエンド型の商品はどちらかというと、プロ投資家向けに設定されることが多くなっています。

二つの違いはどこにあるのでしょうか。ここでは、この二つの仕組みの特徴を見ていきながら、不動産クラウドファンディングにおける運用の仕組みのバラエティ、そして、今後の展開の可能性を考えてみたいと思います。

オープンエンド型、クローズドエンド型とは?

オープンエンド型のファンド、クローズエンド型のファンドの違いは、一言でいうとその名の通り、ファンドが新規の投資資金に対して解放されている(オープン)か、閉じられている(クローズド)かにあります。

運用期間があらかじめ決まっているクローズドエンド型に対してオープンエンド型は「無期限」であると言われることもありますが、必ずしも運用期間に決まりがあるわけではありません。

それでは、具体的にそれぞれの特徴を見ていきましょう。

オープンエンド型ファンドの特徴

オープンエンド型のファンドでは、ファンドが設定された後、つまり、運用が開始された後でも追加の投資資金を受け入れます。また、運用期間中に投資家はいつでも自由に解約し、毎日計算される「基準価格」に基づき換金することができます。

一般的に言って、オープンエンド型ファンドが投資の対象とする資産は換金が比較的容易な流動性が高いものであり、顧客の追加投資や中途解約にも応じやすいという特徴があります。代表的な投資対象は上場株や公社債です。流動性という意味でリスクが抑えられている半面、リターンも高くない傾向があると言えるでしょう。

クローズドエンド型ファンドの特徴

クローズドエンド型のファンドでは、一旦ファンドが設定され、運用が開始されると追加の投資資金を受け入れません。また、中途解約は認められず、投資家は投資会社に買取を要求して換金することができません。

クローズドエンド型が投資対象とする資産は比較的流動性が低く、投資手法においてもレバレッジ等によりリスクを高めに設定してある場合が多く、その分、期待されるリターンも高い傾向があります。

日本の代表的なクローズドエンド型ファンドには不動産や未公開株に投資するファンドがあります。J-REIT(不動産投資信託)もクローズドエンド型で、運用会社に投資証券買取の義務はありません。投資家が換金するには取引市場において市場価格で売却をすることになります。

オープンエンドクローズドエンド
途中解約できるできない
投資傾向流動性高い対象へ投資レバレッジをかけて投資
リターン傾向低め高め

不動産クラウドファンディングはどっち?

さて、前述のとおり、日本においては「不動産」を投資対象とする不動産投資信託(J-REIT)はクローズドエンド型ファンドですが、このサイトでご紹介している「不動産特定共同事業法」による不動産クラウドファンディングではどうなっているのでしょうか。ここでもオープンエンド型とクローズドエンド型が存在するのでしょうか。

二つの運用の仕組みを分ける要素には「リスク」や「流動性」といったキーワードがありましたが、このキーワードに沿って当サイトで取り扱っている不動産クラウドファンディング商品の仕組みを見てみたいと思います。

不動産クラウドファンディングのリスク、流動性の特徴は?

不動産クラウドファンディングは「現物の不動産」を小口化して大勢(Crowd)で投資を行う運用商品ですので、その投資対象は「現物不動産」です。上場株式や公社債などの取引市場で売買される金融商品に比べると現物の不動産の流動性は低く、事業者による対象不動産の取得や売却、そして投資家の換金にはコストと時間を要します。

このため、不動産クラウドファンディング商品のほとんどはファンドの成立までに募集は締め切られ、追加で出資金を受け入れることはしていません。また、運用期間中の持分の譲渡(≒中途解約)はファンドの運営者である事業者に一定の手数料を支払うなどして行う方法に限られているのが現状です。

このように追加の募集がないという特徴からすると、不動産クラウドファンディングはクローズドエンド型のファンドと言えそうです。しかし、J-REITのような金融商品と違って、事業者等に持分を譲渡することにより一定の換金性は担保されている一方で、「取引所」は存在していないため、いつでも自由に換金が可能なわけではありません。

不特法の改正に伴う変遷

さて、ここで不動産クラウドファンディングという商品の背景を復習しましょう。

不動産クラウドファンディングは「不動産特定共同事業法」に基づいた投資商品です。この法律は現物の不動産市場の流動化を促進するために1995年に成立しました。

当初は特定の不動産についての小口化を対象としていましたが、1998年の改正により複数の不動産をパッケージ化してから小口化することが可能となり、ファンドの組成の自由度が広がりました。更に、1999年には第三者へ持分を譲渡することが解禁され、また、「対象不動産変更型」契約が可能となりました。

この対象不動産変更型契約により、事業者は投資の対象である不動産を入れ替えたり、追加したりすることにより運用期間を定めないでファンドの運営をすることが可能となりました。

一般的に現物の建物は時間の経過とともに価値が変化し、途中でリニューアルを施したり、建替えを行ったりする必要も出てきます。長期にわたりファンドを運用するのであれば、一旦ファンドに組み込んだ不動産もタイミングを見て入れ替えを行う必要も出てきます。

この「対象不動産変更型契約」では事業者は投資家からの委託を受けて対象不動産についての変更を行うという建付で、追加や変更を行う際の事業者の運用に関しては細かい制限が追加されました。

たとえば、変更について同意しない出資者に対しては、持分の買取りに応じることが事業者に義務付けられていますので、期限がないファンドであっても一定の換金性が保証されています。また、対象不動産をファンドに追加する際には新たな出資を追加で募ることになりますので、「オープンエンド型」に近いファンドの組成が可能になりました。

不動産クラウドファンディング版「オープンエンド型」

不特法改正により「オープンエンド型」の不動産クラウドファンディング商品組成が可能になって20年以上が経過しましたが、ここ数年、不動産クラウドファンディング(オンラインでの募集)が急激に膨らむ中で、この不動産変更型契約によるファンドはあまり見かけません。

その背景には、事業者が「対象不動産変更型」ファンドの組成に関する多くの制限をクリアするには負担が大きいという供給側の事情もあると思いますが、投資家側の認知度もまだまだ低く、需要を呼び込めていないということもあると思います。

金融商品は銀行などの窓口でも販売され、多くの投資家層へのアクセスがありますが、今のところ不動産クラウドファンディングにはそういった販売経路は存在していません。当サイトのようなインターネット上のサービスなど、限られた方法を通じてオンライン投資に慣れている投資家の方のみが参加しているというのが現状でしょう。

「お金 第3の置き場」としての「iBond」

そんな中、対象不動産変更型の不動産クラウドファンディングにいち早く参入されたのが株式会社マリオンさんです。同社がオンラインで募集を行っている「i-Bond」には運用の期限がありません。また、投資家はいつでも買取請求ができ、おおよそ5日後に換金が可能です。投資対象の不動産は一棟物の賃貸ビルで、その賃料収入から投資家へ配当が行われる仕組みです。分配は年1回、予定分配率は年1.5%となっています。これまでに6棟のマンションを逐次追加し、合計で約40億円の募集を行っています。

賃料収入(インカムゲイン)に加えて対象不動産の売却益(キャピタルゲイン)を分配する仕組みのいわゆる一般的なクローズドエンド型の不動産クラウドファンディングでは、想定利回りは年利3%~8%程度となっており、これらに比べるとiBondは利回りではかなり低めです。しかし、その分換金が自由であり、流動性が高く、運用期間を気にせずに出資できるというメリットがあります。不動産投資家のみならず、多くの投資家に対して「お金第3の置き場」を提供する商品です。

ファンドの償還金が戻ってきたものの、タイミングよく次の投資先ファンドが見つからない、抽選に外れてしまったなどといった際には、この第3の置き場に一部を置いておくという方法もあるでしょう。

まとめ

ファンドにおけるオープンエンド型とクローズドエンド型の違いに焦点を当てて、不動産クラウドファンディング商品の内容を見てきました。まだまだ短期の「クローズドエンド型」ファンドが大方ですが、長期安定運用に適したオープン型の取り組みも始まっていることをご理解いただけたと思います。

日本の収益不動産市場約270兆円のうち、2割ほどがJ-REITや私募ファンドとして証券化されているといいます。これらの大規模な証券化商品の投資の対象にならないような小規模な不動産が不動産クラウドファンディングを通じて徐々に個人投資家に対して紹介されています。

しかし、その市場はまだまだ小規模です。

今後の課題としては、流動性・換金性などといった投資家にとっての利便性、そして情報の透明性を更に高めていくことなどがあると思います。また、商品の供給側にとっては、不動産クラウドファンディング運営にかかるコストを下げていくことも重要です。

新たなIT技術などを取り入れることにより、これらの課題が解決されることに期待していきたいと思います。

この記事を書いた人

LIFULL不動産クラウドファンディング編集部

金融分野全般に視野が広いライターと、不動産クラウドファンディングに精通した校閲メンバーにて構成。投資家目線のわかりやすい記事を届けることをモットーに、不動産クラウドファンディングを中心とした投資お役立ち情報をお届けします。

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