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STO 2021.09.22

【不動産STOとは?】~不動産証券化の仕組みやメリット、不動産クラウドファンディングへの活用事例まで

不動産STOとは、ブロックチェーンという最先端の技術を利用して不動産をデジタル証券化し、株式のように自由に売買できるようにした仕組みです。株式会社LIFULLは2020年より、不動産特定共同事業者向けにSTO(Security Token Offering)スキームを提供しています。本ページでは、STOスキームが導入されたファンドが、投資家にとってどのようなメリットがあるのかに重点を置き、解説していきます。

不動産STOとは?

不動産STOとは、不動産をデジタル証券化して株式のように自由に売買できるようにする仕組みです。不動産をデジタル証券化すると、不動産の複雑な契約締結のプロセスを自動化したり、不動産の権利そのものを簡単に売買できるようになるため、投資家にメリットがある仕組みとして注目が集まっています。

不動産STOは世の中に登場したばかりの方法で、今後導入する企業が増えていくと考えられます。不動産STOについて難しいというイメージを持つ人も多いかもしれませんが、この機会にぜひ理解しておきましょう。それでは、STOについて解説していきます。

STOの仕組みとブロックチェーン技術について

STOは英語で「Security Token Offering(セキュリティトークンオファリング)」と表記し、ブロックチェーン技術を用いてデジタル化された「デジタル証券(セキュリティトークン)」を活用した資金調達方法のことをいいます。

ブロックチェーンとは、データ(取引記録)を正確かつオープンに記録できる仕組みです。ブロックチェーンは分散型台帳とも呼ばれており、特定の管理者がいないことから、特定の人や組織に影響を受けることなく、公正にデータを保存したり、共有したりすることが可能です。また、ハッキングなど不正なアクセスによっても、データが改ざんされないという特徴があるため「ブロックチェーン上にあるデータは正しく検証可能なものである」と判断できます。

不動産取引では、自分が不動産の権利を持っていることを証明するためや、権利の売買手続きのために第三者が仲介して取引をすることが一般的です。しかし、それには多くのコストや時間、手間がかかります。

不動産STOを導入すると「不動産持分を保有している」というデータがブロックチェーン上に記録されるため、そのコントロール権である秘密鍵をもって保有を証明できます。そのため、第三者を介さずに信頼性が高い取引が可能となります。

STOのメリット

ブロックチェーン技術を用いたセキュリティートークン(ST)には、以下のようなメリットがあります。

  • 24時間いつでも取引ができる
  • データが改ざんされるリスクは低く、安全性が高い
  • 取引コストの削減
  • 所有権をより小口化できる

STは24時間いつでも取引ができ、即時決済も可能です。証券取引所では売買時間が決まっており、決済も売買成立から数日後ですが、STはよりスムーズな取引が可能となっています。

また、改ざんが現実的に不可能と言われている「ブロックチェーン技術」を使っているため、ハッキングなどのリスクも低く、安全性が高いと考えられます。

今までは、金融資産や不動産所有権などを小口化することは、手続きや管理コストがかかるためあまり行われてきませんでした。しかし、資産をデジタル証券化することで手続きが簡略化されてコストも低くなります。

不動産STOの仕組みを使うと、どのような大きな資産も簡単に小口化し、自由に売買することが可能です。

STOの金融商品取引法における位置づけ

金融商品取引法(金商法)におけるデジタル証券は、海外と同じように政府機関から発行や販売が認められており、既存の株式と同じように正式な「有価証券」の扱いです。2020年5月にはデジタル証券に対応するため金商法が改正されました。このようなことから、不動産をデジタル証券化する「不動産STO」は、政府からも認められた、正式な手法ということができます。

STOでは、株や社債、不動産などがデジタル証券化され、ブロックチェーン上でやり取りされます。2021年はじめには、SBIホールディングスと三井住友ファイナンシャルグループが共同で、「株式とセキュリティトークン(デジタル証券)を扱う取引所」を大阪に設立する基本合意書を締結しました。

STOの不動産特定共同事業法における位置づけ

不動産特定共同事業法(不特法)においては不動産クラウドファンディングへの出資持分をSTとして発行する動きが2020年からスタートしています。

不特法クラウドファンディングにおいてはこれまで2次流通マーケットがありませんでしたが、STとしてブロックチェーン上に発行されることで流動性の向上や市場形成が期待されます。

STOの認知度はまだ低いものの、今後は多くの企業がデジタル証券の分野に参入し、STを利用した資金調達の流れは加速すると考えられています。

STOが解決する不動産クラウドファンディングの課題点

不動産クラウドファンディングの運用期間には、数か月といった短期のものもあれば、数年という長期のものもあります。その中から自分に合った条件のファンドを選んで不動産クラウドファンディングで出資をすることで、自分の出資額に見合った持ち分を取得することができます。

しかし、ほとんどのファンドでは、運用期間中に病気になるなどして急に資金が必要になっても、途中解約が自由にできません。このことが、不動産クラウドファンディングのデメリットであり、課題となっています。

それでは、不動産STOはこの課題をどのように解決できるのでしょうか。

不動産STOの活用による2次流通市場の構築

例えば、株式投資をしている人であれば、株式を好きなタイミングで売ったり買ったりした経験があるかと思います。これは、ある株式が欲しい投資家と、譲渡したい投資家同士が結びつく、2次流通市場があることによって成り立っています。

株式が自由に売買できるのは、証券会社や保管振替機構(ほふり)という仕組みのおかげです。

株式を売買しようとする際に、誰が株式を保有しているかという原簿の管理を一元的におこなうのが「ほふり」の役割です。「ほふり」があることによって、私達は安心して売買ができます。

もし「ほふり」がなければ、複数の証券会社経由で同時多発的に発生する売買を成立させて、それらを後日決済・引き渡しすることはできません。

ブロックチェーン技術を使った不動産STOは、まさにこの「ほふり」の役割を、ブロックチェーンに担わせようとしています。

今までは、上場REITなどを除いた不動産証券化商品や不動産特定共同事業出資持分については、「ほふり」のような機能が無かったため、容易に売買することができませんでした。

しかし、不動産STOが普及して様々な不動産がブロックチェーン上のデジタル資産となることで、これらを仮想通貨のようにインターネット上で簡単に売買できるようになる時代が訪れようとしています。

不動産STOの仕組みを図解でくわしく解説

株式会社LIFULLでは、不特法不動産クラウドファンディングの持分をSTとして発行できるスキームを提供しています。以下ではこのスキームに基づき不動産STOを解説していきます。

不動産STOを構成するのは、「ブロックチェーン」というテクノロジーです。ブロックチェーンにはさまざまな特徴がありますが、不動産STOで活用されているのは以下の2点です。

  1. 格納されたデータの改ざんが困難で、かつ透明性があり誰でも検証可能である。
  2. 「スマートコントラクト」を用い、人の手を介さずとも確実に取引を実行させる。

※あらかじめプログラムの実行条件をブロックチェーン上に設定し、条件が整った時にプログラムが作動する仕組み

以下のスキーム図をご覧下さい。

不動産STOは、自身の不動産の出資持ち分をブロックチェーン上の「トークン」として表象し、「トークン」を別の投資家に売却する形を取ります。

ブロックチェーンには投資家Aの持ち分データが、不動案クラウドファンディング事業者によって「トークン発行」という形で書き込まれています。このデータは改ざんすることが困難で、誰でも検証が可能です。

自分の持ち分を、発行体等の第三者に頼らずとも証明できる点が、1つ目の特徴です。

また、「スマートコントラクト」を介することで、契約の同時執行を担保できます。要は、「お金を渡したのに、権利を受け取れない」もしくは「権利を渡したのに、お金が支払われない」といったような事態を防ぐことができます。

このスマートコントラクトでは、以下のような条件が組まれています。

  1. 投資家A・Bがそれぞれ不動産クラウドファンディング事業者に身分証明(KYC)が済んでおり、かつファンドの成立前書面等に同意している状態である
  2. 投資家Aが自身の持分に対して指定した数量の対価が支払われれば交換応じる意思を示している
  3. 投資家Bは上記条件のもと対価を支払う

この条件がブロックチェーン上で確認できた時に初めて、投資家Aの持ち分と投資家Bの暗号資産が同時に交換(DVP)されます。

尚、このスマートコントラクトはEthereum(イーサリアム)ブロックチェーン上でしているため、対価はこのEthereum上で流通している通貨(主にETH)を用います。

不動産STOの導入事例を紹介

不動産STOの導入事例はアメリカやイギリス、フランスなど、海外で多くなっています。例えば、アメリカでの不動産STOの実例としては、20億円のホテルを証券化した例があります。このように、本来であれば投資できないような高額な不動産でも、不動産STOにより小口化することで、だれでも少額から投資できることがメリットです。

不動産投資に参加するハードルが下がること、自分が持っている権利を簡単に売買して譲渡できることなどから、日本でも不動産STOへの注目が高まっており、いくつかの導入事例もあります。

ここでは、不動産STOの日本における活用事例について紹介します。

【エンジョイワークス】葉山の古民家家づくりファンドの例

このプロジェクトは、弊社LIFULLとSecuritize Japanが共同で、エンジョイワークス社が行うプロジェクトを、国内初の不動産STOとして実施したものです。

>葉山の古民家宿づくりファンド

このプロジェクトでは、出資した投資家コミュニティに対して、セキュリティトークンを発行し、「安全性」や「投資家の持ち分の譲渡できる利便性」を提供します。

【大家ドットコム】Foresight南麻布の大家になろう!の例

このプロジェクトは、不動産クラウドファンディングサービスである「大家.com」が初めて不動産STOを導入したプロジェクトで、日本での不動産STO導入例としては、二つ目となります。このプロジェクトへの投資では、投資家は不動産STOの仕組みを通して、運用中でも自分の出資持分を譲渡することが可能です。

>「広尾」駅徒歩5分 港区南麻布の大家になろう!!

※2021年9月現在、本ファンドは予定より早く売却先が見つかり運用が終了したため、STによる取引はできません

まとめ

不動産STOは、運用期間中であっても自分の出資分を簡単に譲渡し、現金化できる仕組みです。『LIFULL不動産クラウドファンディング』で紹介している不動産クラウドファンディングでは、不動産STOに対応しているプロジェクトがあります。サイト内で「STO」と記述されているファンドの場合は、トークンを用いて運用期間中に出資分の権利を売買ができることを表しています。

もし運用期間中のSTO案件があれば、期間中いつでも売買が可能である※ということです。

また、募集が終了している案件でも、既存の投資家から購入することで出資が可能です。その際は、ぜひ各社にそのSTO導入ファンドへ出資したい旨をお問い合わせいただき、各社のフローに従って取引を実施して下さい。

以上のように、LIFULLではこの不動産STOを用いることで、投資家の皆様がより安心して不動産の売買ができる環境を整えていきます。

不動産クラウドファンディングへの出資を検討する場合は、ぜひLIFULL掲載のファンドの中から、自分に合ったものを見つけてみてください。

※ファンドによっては、一定の運用期間が経ってから売買可能と設定しているファンドもあります。

LIFULL不動産クラウドファンディング編集部
この記事を書いた人

LIFULL不動産クラウドファンディング編集部

金融分野全般に視野が広いライターと、不動産クラウドファンディングに精通した校閲メンバーにて構成。投資家目線のわかりやすい記事を届けることをモットーに、不動産クラウドファンディングを中心とした投資お役立ち情報をお届けします。

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