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お役立ち情報 2021.06.08

不動産特定共同事業法とは?最新の不特法改正のポイントとあわせて解説

不動産特定共同事業法は、「不動産特定共同事業」の発展と投資家の保護のために制定された法律です。

不動産特定共同事業とは、許可を受けた事業者や登録を行った事業者が、複数の投資家から出資金を集めて不動産投資事業を行い、その運用益や売買益を投資家に分配する事業のことをいいます。この法律に基づいて運営されているものとしては、不動産クラウドファンディングがあります。

不動産特定共同事業法には、投資家を保護するためのさまざまな規制や事業者の許可・登録についての要件が定められていますが、何度か改正が行われ、個人投資家の不動産投資を促進するような環境整備が進められています。

この記事では、不動産特定事業法の内容や、2017年と2019年の法改正の内容について、詳しく解説します。

不動産特定共同事業法とは?

不動産特定共同事業法は不特法とも呼ばれており、「不動産特定共同事業」に出資する資家の保護と、不動産特定共同事業の発展を目的として1995年に施行された法律です。

不動産特定共同事業とは、事業者が匿名組合契約や任意組合契約などを通じて複数の投資家から出資を募り、集めたお金で収益不動産を取得・賃貸・運用し、そこで得た収益を投資家に分配する事業のことをいいます。

不動産投資では収益物件を所有するとなると、本来であれば数千万、数億といった多額の資金が必要です。しかし、1980年代に高額な不動産を分割して投資しやすくした「不動産小口化商品」が生まれ、大きな資金力がなくても比較的簡単に不動産投資ができるようになりました。

ただ、経営基盤がぜい弱な事業者が運営を行うと倒産の恐れがあり、投資家の損失につながってしまいます。実際、バブル崩壊時には経営基盤が弱い事業者の倒産が相次ぎ、不動産小口化商品に投資した人々が大きな損失を出すこととなりました。

このような状況を踏まえ、投資家保護のために不動産特定共同事業法が制定されたという経緯があります。

不特法では、投資家保護のために、一定の要件を満たした事業者のみに許可が与えられる仕組みです。

それでは、不動産特定共同事業者の種類と、許可要件について詳しくみていきましょう。

不動産特定共同事業者の種類

不動産特定共同事業を行うためには、国土交通大臣または都道府県知事の許可が必要です。事業者の種類は以下の4種類となっており、それぞれ必要な資本金が決められています。

種類事業者の定義必要な資本金
第1号事業者不動産特定共同事業契約を締結し、契約に基づいて運営される不動産取引から得られる利益等の分配を行う事業者1億円
第2号事業者不動産特定共同事業契約締結の代理もしくは媒介をする事業者1,000万円
第3号事業者特例事業者(SPC)の委託を受け、不動産特定共同事業契約に基づいて運営される不動産取引に係る業務を行う事業者5,000 万円
第4号事業者特例事業者が当事者となる不動産特定共同事業契約締結の代理・媒介をする事業者1,000万円

また、資本金以外の要件にも、以下の4つすべてを満たす必要があります。

  1. 宅地建物取引業者免許を受けていること
  2. 不動産特定共同事業を営むための必要な財産的基礎があり、かつ適格に事業を遂行できる人的構成があること
  3. 基準を満たす不動産特定共同事業契約約款があること(一般投資家を対象とする場合のみ)
  4. 事務所ごとに業務管理者を配置していること

それぞれの要件を満たした場合に、事業者として許可を受けることができます。

許可を受けた事業者が電子取引(クラウドファンディング)により行う不動産特定共同事業のスキームは、主に3つありますので紹介します。

第1号事業のスキーム

資金需要者(クラウドファンディング業者)がインターネットを通じて投資家を勧誘し、投資家とクラウドファンディング業者でまず、匿名組合契約や任意組合契約等の契約を締結します。

そして、集めた資金で不動産の取得や賃貸、売却などの運用をおこない、その収益を投資家に還元する仕組みです。

第三者から出資契約に基づいて資金を集め、不動産取引を行う行為は第1号事業にあたるため、第1号事業者が行うことができます。

第2号事業のスキーム

第2号事業のスキームでは、資金需要者(不動産クラウドファンディング業者)は投資家への勧誘をせず、他のクラウドファンディング業者に投資家の勧誘を委託します。その後は、資金需要者は投資家との契約を締結し、不動産を取得・運用し、収益を投資家に還元します。

投資家への勧誘を他の業者に委託するという点が、第1号スキームとの違いです。

委託を受けた事業者が投資家への勧誘をする業務は第2号事業にあたるため、第2号事業者が行います。

特例事業スキーム(SPCスキーム)

このスキームは、不動産取引を行うことを目的とする特別目的会社(SPC)が投資家と出資契約を締結し、集めた資金で不動産取引を行って収益を投資家に分配する仕組みです。

SPCスキームでは、それぞれの業務を第3号事業者、第4号事業者に外部委託することが特徴です。また、事前の届け出を行うことなど、一定の要件を満たす必要があります。

SPCスキームでは、投資家の勧誘活動は第4号事業であり、第4号事業者に外部委託されます。

また、SPCスキームにおける不動産取引に係る業務は第3号事業であり、第3号事業者に外部委託されることとなっています。

資金調達スキームごとに必要となる免許の種類

【2017年(平成29年)】不特法改正のポイント

不動産特定共同事業法が制定されたのは1995年ですが、不動産特定共同事業の発展や個人投資家の投資促進のため、何度か法改正が行われています。

2017年(平成29年)の不特法改正では、事業者が不動産特定共同事業に参入しやすくするための規制緩和が行われました。また、クラウドファンディングの発展を見越した電子的取引のための環境整備もおこなわれています。

それでは、主な改正内容をみていきましょう。

小規模不動産特定共同事業の創設

不特法では事業者が許可制となっており、改正前は厳しい要件を満たした一部の業者しか事業運営ができない仕組みでした。

しかし、2017年(平成29年)の改正で「小規模不動産特定共同事業」が新たに創設され、事業者に対する資本金や出資金の要件が緩和されました。

この改正により、大きな資本力がない地域の不動産業者等、中小企業であっても、不動産特定共同事業に参入しやすくなっています。

小規模不動産特定共同事業とは?

小規模不動産特定共同事業とは、「小規模不動産特定共同事業者」に登録した事業者が、投資家から集めた資金を利用して不動産を取得・運用し、得られた収益を投資家に分配する事業のことを言います。

小規模不動産特定共同事業では事業者の要件だけではなく、投資家の出資金の上限など、通常の不動産特定共同事業にはない要件が定められていることも特徴です。

地方の不動産業者のような規模が小さい企業が参入することで、地方で問題化している空家や空き店舗の活用など、地方創生につながるプロジェクトが増えると期待されています。

小規模不動産特定共同事業者の要件と事業範囲

小規模事業者は2種類のみ規定され、資本金の要件の違いが大きな特徴となっています。

事業者種別資本金事業者の定義
小規模第1号事業者1,000万円第1号事業者に同じ
小規模第2号事業者1,000万円第3号事業者に同じ

また、これまで事業者はすべて許可制でしたが、許可制の場合は条件を満たしていても行政の判断によっては拒否されてしまう場合がありました。

この改正にあたり、小規模事業者については5年毎の登録制が導入されました。
登録制の場合は、申請書を提出すれば必ず登録をすることが可能です。
これにより事業者の参入のハードルがより低くなりました。

また、業務の範囲は以下のように決められています。

・小規模第1号事業で取り扱うことができる事業の範囲

小規模第1号事業者が受けることができる出資の合計額1億円以下
小規模第1号事業者が1人の投資家から受けることができる出資額100万円以下
※特例投資家は1億円以下

・小規模第2号事業で取り扱うことができる事業の範囲

小規模特例事業者が受けることができる出資の合計額1億円以下
※複数の小規模特例事業者から委託を受ける場合は10億円以下
小規模特例事業者が1人の投資家から受けることができる出資額100万円以下
※特例投資家の場合は1億円以下

このような改正により、さまざまな中小不動産業者が不動産特定共同事業に参入しやすくなりました。多くの不動産小口化商品が生まれて投資家の選択肢が広がることから、不動産投資を促進する効果が高まると期待されています。

電子的方法による取引への対応

2017年(平成29年)の法改正では、クラウドファンディングを「電子取引業務」と定義しました。そして、電子取引業務務を行う不動産特定共同事業者は、許可や登録の際に電子取引業を行う旨を申請しなければならない等、一定の規制が設けられることになりました。

電子取引業務をスムーズに行うための対応としては、書面交付の電子化が挙げられます。

以前の不動産特定共同事業法では、インターネットを通じたクラウドファンディングなどで不動産特定共同事業に投資が行われるときにも、不動産特定共同事業契約が成立する前の書面や、成立時の書面は送付する必要があり、インターネット等を通じて交付することは認められていませんでした。また、年に1回投資家に交付する「財産管理報告書」も、書面での交付が義務とされていました。

しかしこの改正により、

  1. 契約成立前に書面を交付しての説明
  2. 契約成立時の書面交付
  3. 財産管理報告書

の3つを、インターネットを用いた電子的な方法をとることが可能となりました。

これらの対応により、不動産クラウドファンディングのための環境整備が、より整えられました。

【2019年(平成31年)】不特法改正のポイント

2019年(平成31年)の不特法改正は、2018年に閣議決定された「未来投資戦略2018」を踏まえ、空き家などの再生等を促進するための不動産クラウドファンディングの一層の活用を目的としています。

また、この改正では不動産特定共同事業に関するいくつかの施策も盛り込まれました。それでは、主な施策を3つみていきましょう。

電子取引業務ガイドラインの策定

電子取引業務ガイドラインでは、不動産クラウドファンディングを実施しようとする者が投資家保護のために備えるべき業務体制等やプロジェクトの審査体制、情報開示項目などが明確化されました。

具体的には、電子取引業務を行う不動産特定共同事業者や小規模不動産特定共同事業者が守るべきものとして、以下の6つが定められています。

  1. 電子情報処理組織の管理
  2. 適切な審査
  3. クーリングオフ
  4. 定期的な情報提供
  5. 重要事項の閲覧
  6. 分別管理の徹底及び金銭信託の預託

施行規則の改正

施行規則の改正では、個人などによる長期的・安定的な不動産クラウドファンディングへの参加を促進するために行われました。

具体的には、対象不動産変更型契約にかかる規制の合理化を主な内容としています。また、約款の内容の基準や書面に記載すべき事項の改正等も行われています。

不動産特定共同事業への新設法人参入要件の見直し

不動産特定共同事業を行う事業者の許可の申請に際しては、直近3年の事業年度ごとの計算書類提出が必要とされていたため、実質新設法人の参入ができない仕組みとなっていました。

この見直しでは、新設法人であってもクラウドファンディングを行う場合に限っては、不動産特定共同事業の許可を得られることが明確化されました。今までは許可が得られなかった「設立3年以内の法人」であっても、不動産特定共同事業に参入することができるようになっています。

不動産特定共同事業法に基づいた不動産クラウドファンディングとは

最後に、不動産特定共同事業法に基づいた不動産小口化商品の中で注目を集めているものとして「不動産クラウドファンディング」があります。

クラウドファンディングとは、インターネット上で広く資金を募る仕組みのことを言いますが、それを不動産特定共同事業の枠組みに活用したものが、不動産クラウドファンディングです。

不動産クラウドファンディングは、不動産特定共同事業法に基づいて行われている「不動産特定共同事業」に対してインターネットを通じて出資をし、運用益を分配金として受け取ることができる、不動産小口化商品のひとつです。

現物不動産投資は多額の資金を必要としますが、不動産クラウドファンディングは数万円という少額から、手軽に不動産投資を始めることができます。

また、投資家はWEB上のプラットフォームを使って、申し込みから分配金の受取り、償還までをすべてインターネット上で完結できるため、手間がかからないことも魅力です。

そのほかにも、以下のようなメリットがあります。

  • 平均的な利回りが2~8%と高い
  • 運用期間を選べる(数か月~数年まで)
  • 元本価格が変動しない
  • 投資する不動産を自分で選べる
  • 不動産管理の手間がかからない
  • リスク軽減の仕組みがある

不動産クラウドファンディングは、

  • まずは少額から不動産投資をしたい人
  • 元本変動がある株や投資信託などは避けたいが、預金よりも高い利回りで運用したい人
  • 自分に合った運用期間を選びたい人

に向いています。不動産クラウドファンディングについてくわしく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。

不動産クラウドファンディングとは?仕組みやメリット・他の不動産投資との違いを解説

まとめ

不動産特定共同事業法とは、国が推し進めている「不動産特定共同事業」に出資をする投資家の保護と、不動産特定共同事業の発展を目的とした法律です。2019年の最新の法改正では、不動産クラウドファンディング事業者が守るべき事項が定められ、投資家保護のための環境がより整えられました。

不動産クラウドファンディングは、少額から不動産投資ができること、利回りが高いことなどから、資産形成に活用できる手法のひとつです。数万円から不動産投資を行いたい人、利回りが高い商品で資産運用をしたい人は、ぜひ不動産クラウドファンディングを検討してみてください。

LIFULL不動産クラウドファンディング編集部
この記事を書いた人

LIFULL不動産クラウドファンディング編集部

金融分野全般に視野が広いライターと、不動産クラウドファンディングに精通した校閲メンバーにて構成。投資家目線のわかりやすい記事を届けることをモットーに、不動産クラウドファンディングを中心とした投資お役立ち情報をお届けします。

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