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お役立ち情報 2021.05.21

不動産クラウドファンディングにおける「匿名組合」と「任意組合」の違いをくわしく解説

不動産に少額から投資できる不動産クラウドファンディングは、投資家が不動産に直接投資をするのではなく、「匿名組合型」や「任意組合型」、「賃貸借型」という3つの契約型を通じて出資・投資を行う仕組みとなっています。

これらの3つの契約型では、責任の範囲や税務上の取扱いなど、多くの点で違いがあります。そのため、不動産クラウドファンディングに投資をするときには、自分の目的やリスク許容度にあったものを選ぶことが大切です。

この記事では、不動産クラウドファンディングで主に使われている「匿名組合型」と「任意組合型」の特徴や違いについて、くわしく解説します。

不動産特定共同事業法に基づく不動産クラウドファンディングとは?

不動産クラウドファンディングとは、本来であればまとまった資金が必要な不動産投資を、数万円という少額からはじめられる商品のことをいいます。

一般的な不動産投資では、収益マンションやビルなどの不動産を購入することからハードルが高く、実際に投資ができるのは一部の人に限られていました。しかし、不動産クラウドファンディングは少額から始められるため、元手が少ない人でも簡単に不動産に投資できるというメリットがあります。

この不動産クラウドファンディングは「不動産特定共同事業法」に基づいておこなわれています。通称「不特法」と呼ばれるこの法律では、不動産特定共同事業における業務の適正な運営と投資家保護に関する仕組みを定めており、契約型を「匿名組合型」「任意組合型」もしくは「賃貸借型」としています。

ここでは、代表的な2つの契約型である「匿名組合」と「任意組合」について詳しく解説していきます。

匿名組合の特徴

匿名組合とは、人が集まる形態としての「組合」ではなく、出資の際に利用される商法上の契約の一種のことをいいます。この匿名組合契約は、不動産特定共同事業法に基づく「不動産クラウドファンディング」で多く用いられている契約方法です。それでは、匿名組合の特徴について詳しく解説します。

匿名組合の規定は商法

匿名組合は商法第535条において、「匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる」と規定されています。

匿名組合員は事業者に出資を行う見返りとして、事業の収益を分配してもらう権利を得ることができます。出資金の運用や業務の執行は事業者が行い、出資したお金は事業者に属します。

匿名組合員は出資をしますが、株式会社の株主のように、重要事項を決定したり、取締役を専任したりというような権利はもっていません。匿名組合員は経営には参加しないため、事業者は独立性を維持し、ファンドの運営に集中することができます。

この匿名組合契約は、匿名組合員と事業者との二者間の契約となっているため、投資家と事業者が1対1で契約を行います。それぞれの匿名組合員が事業者と独立して匿名組合契約を行うため、組合員ごとの横のつながりはありません。

匿名組合における不動産登記

匿名組合では、不動産の所有権は事業者にあるため、不動産登記も事業者が行います。匿名組合員は不動産の収益を得る権利はあるものの、不動産登記はおこなわないため、投資家の名前が表に出ることはありません。

匿名組合の責任の範囲

匿名組合契約の終了後は、事業者は匿名組合員に出資金を返還しなければならない義務があります。

もしも事業で損失が出た場合でも、匿名組合員の責任は有限となっているため、出資金以上の債務を負う必要はありません。

このように、匿名組合員の責任は有限であることが大きな特徴となっています。

匿名組合の税務上の取り扱い

匿名組合員に相続や贈与が発生した場合は、課税の時点における評価額が、相続財産と見なされます。相続の時点で匿名組合契約が終了したと仮定し、その場合の分配金や償還額がそのまま計算されるため、資産圧縮効果を期待することができません。

一般的には、相続時における不動産の評価額は、実際の価格の7割ほどになり、低く評価されます。また、賃貸物件は制約があり、相続人が自宅のように自由に使えない不動産であることから、自宅のような「自用の物件」よりも相続税評価額が低くなるという特徴もあります。

しかし、匿名組合契約に基づく不動産小口化商品では、各匿名組合員は不動産を所有していないことから、相続時にはそのままの評価額となります。例えば100万出資していた場合は、そのままの額である「100万円」が相続財産評価額となってしまいます。

匿名組合契約による不動産投資では、不動産投資の大きなメリットのひとつと言われている「相続時の節税効果」は期待できないことを覚えておきましょう。

任意組合の特徴

任意組合は、複数の投資家が出資をし、共同で事業を行うことを約束する契約のことをいいます。匿名組合は組合員と事業者間の二者間契約ですが、任意組合では事業者も含めた全組合員が一つの組合契約を締結するという違いがあります。

この任意組合には、現物出資型と金銭出資型という二つのタイプがあります。

それでは、任意組合の特徴について、くわしくみていきましょう。

任意組合の規定は民法

任意組合契約は、民法第667条から688条に規定されています。匿名組合は商法で規定されていますが、任意組合は民法で規定されていることが大きな違いです。

任意組合では複数の人が出資をし、共同で事業を行うことを約束する契約です。投資家と事業者が共同で契約を締結するため、事業から得られる損益の帰属という点で、投資家と事業者は対等な立場となります。また、組合員同士も契約で結ばれます。

匿名組合では「事業者」が事業運営を行いますが、任意組合では、任意組合員である投資家が事業者に業務の執行を委任し、事業者が業務執行組合員として事業運営を行うのが一般的です。

また、匿名組合では組合員に重要事項に関する決定権はありませんが、任意組合の場合は権限があります。例えば、組合の業務の執行は、組合員の過半数で決定します。また、契約上業務の執行を何人かに委任した場合は、委任した人数の過半数で決定されることとなっています。

任意組合における不動産登記

任意組合の現物出資型では、組合員が出資を行い、さらに組合に対して現物出資の登記も行います。

現物出資型でも金銭出資型でも不動産の所有権が投資家に移転するという点では一緒ですが、金銭出資型では不動産の登記を行わないということもできます。不動産登記をする場合は、投資家がそのコストを負担します。。

匿名組合は簡単にいうと「分配金をもらう権利」を所有しますが、任意組合の現物出資型では「不動産を実際に所有する」ことが大きな違いとなっています。

任意組合の責任の範囲

任意組合の各組合員は、事業から生じる損失に対して出資割合により無限責任を負担します。そのため、場合によっては出資金以上の債務を抱えてしまうことがあります。一方、匿名組合員の責任の範囲は有限のため、出資金以上の責任が発生することはありません。ここが2つの仕組みの大きな違いとなっています。

例えば、投資家が100万円を出資し、出資割合が100分の1である場合に、仮に1億5,000万円の債務が発生したとします。この場合は、出資割合の100分の1を掛けた額、つまり150万円の責任が発生することとなるため、出資金以上の損失が出ることとなります。

一方で、匿名組合は有限責任です。事業によってどれだけ多くの債務が発生しても、出資金がゼロになるだけですむというメリットがあります。

このように、任意組合の場合は、出資金を超える債務を抱えてしまうことがあるため、注意が必要です。

任意組合の税務上の取り扱い

任意組合では、組合員は持ち分に応じた不動産を実際に所有していることになります。そのため、税務上は現物不動産を保有している場合と同じ扱いになります。

相続では、現物不動産の約7割程度が相続税評価額になります。また、賃貸物件の場合は所有者の権利が制限されているため、より低い評価額になるという特徴があります。

このように、任意組合で不動産投資を行うと、相続税評価額が時価よりも安くなるため、相続や贈与の際に節税効果が期待できます。

匿名組合と任意組合の違いを比較

不動産投資をする際には、匿名組合と任意組合の特徴をしっかりと理解し、自分に合ったものを選ぶことが大切です。特に、任意組合の責任は基本的に無限であることを理解しておく必要があります。

匿名組合と任意組合の重要なポイントを、以下のようにわかりやすく表で比較しましたので、参考にしてください。

匿名組合任意組合
規定される法律商法民法
責任の範囲有限(出資分のみ)無限(出資比率に応じる)
不動産登記なしあり(現物出資型)
なし(金銭出資型)※業務執行組合員が代表して行う
経営上の権利なしあり
匿名性ありなし
相続や贈与の
節税効果
なしあり
出資金額数万円から百万円以上が多い

まとめ

不動産特定共同事業法に基づく不動産クラウドファンディングでは「匿名組合」や「任意組合」という契約方法が用いられています。匿名組合では、匿名で出資ができること、責任が有限であること、運営をすべて事業者に任せられることがメリットです。任意組合では相続や贈与時に節税できることがメリットですが、無限の責任を負わなければならないという大きなリスクがあるため注意が必要です。

リスクを抑えて少額からの不動産投資をしたい場合は、匿名契約の不動産クラウドファンディングをぜひ検討してみてください。

LIFULL不動産クラウドファンディング編集部
この記事を書いた人

LIFULL不動産クラウドファンディング編集部

金融分野全般に視野が広いライターと、不動産クラウドファンディングに精通した校閲メンバーにて構成。投資家目線のわかりやすい記事を届けることをモットーに、不動産クラウドファンディングを中心とした投資お役立ち情報をお届けします。

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