ニュース・トレンド 2021.03.09

投資における不動産ファンドの活用について

新型コロナウィルスという目に見えない敵との戦いで経済活動は収縮し、これに対応すべく主要先進国は金融緩和を大胆に進めています。そんな低金利、カネ余りの中、個人ネット投資家の間でじわじわと盛り上がってきているのが「不動産ファンド」です。

「不動産ファンド」とは不動産を証券化し、小口化した商品です。

日本において「不動産証券化」への取り組みはバブル期よりずっと以前から始まっていましたが、20世紀終盤、銀行の不良債権処理が喫緊の課題となる中で法整備が一気に進んでマーケットが広がったという背景がありました。

そして、2000年代に入ってから不動産証券化市場規模は急拡大しましたが、2008年の金融危機(リーマンショック)のあおりを受けて一気にシュリンクしてしまいました。

その後、紆余曲折ありながらも、不動産ファンド市場は更なる法整備や業界の努力で、時代と共に着実に進化してきました。予期せぬコロナ禍が後押しして世の中のDXが加速している今、個人が不動産ファンドに投資することの意味を考えてみたいと思います。

「不動産ファンド」といっても、色々ありますが・・・

不動産ファンドと言っても色々な仕組みがあります。一口に言えば、「営業者」などのファンド運営主体が投資家から資金を集めて「現物不動産」に投資を行い、そこから得られる収益を投資家に分配する「不動産証券化」の仕組みによるファンドの総称です。

その「中身」を以下、類型化していきます。

  1. まず、「投資対象の不動産」で大きく色分けをすると、オフィス、商業施設、倉庫、ホテル・旅館、複合施設等となります。国土交通省の統計によると、東日本大震災後に高まった物流不動産へのニーズを反映して、昨年度は物流施設への投資の割合が28.9%と、これまで1位の座を守ってきたオフィス(21.1%)を追い越しました。続く3番目はインバウンド効果で急増した宿泊施設(19.3%)となっています。

  2. 次に「ファンドのスキーム(仕組み)別」に見ると、REIT(リート)、不動産特定共同事業ファンド、その他の私募ファンド※に大別されます。「投資対象不動産の取得額」から見た各スキームのシェアは、大口投資家向けの「その他私募ファンド」が最大、その次にREIT(私募REITを含む)が続きます。
    グラフから明らかですが、不動産証券化のマーケット規模は2007年度にピークを打ったあと、翌年には1/3以下に落ち込んでいます。この原因は言うまでもなく、冒頭で触れた「世界金融危機」の直撃です。

    昨年度の総額は金融危機前に比べてほぼ半分くらいの水準となっていますが、スキーム毎に見ると、「その他私募ファンド」が2007年度比で3割程度の水準にとどまっている一方で、「不特法ファンド」は7割程度まで回復、REITに至っては102%とピーク時を上回っています。

    REITが堅調な背景には、2010年に日銀がREITの買入れという新たな量的緩和策に踏み込んで以来、今でも一定の条件の下で買入れを継続しているということがあります。そして同年には、私募REIT第1号がスタートし、機関投資家の資金が代替資産としてのREITに流れ込みました。日銀の現行のREIT買入れ枠上限に到達するのも時間の問題と見られていますので、コロナ禍が長引く中、日銀のスタンスから目が離せません。

    ※「その他私募ファンド」はGK-TK型、TMK型など大口投資家向けのスキーム

  3. 次はファンドの中身です。ファンドが取得した対象不動産を「地域別」に見ると、当然のことながら、一貫して東京都がダントツ1位です。しかし、10年前には6割程度だったその全体におけるシェアは徐々に下がってきており、直近では4割程度となっています。その分、その他の地域での取り組みが増加しているわけです。

    東京一極集中を是正し、地方を活性化させることを目指す政府の「地方創生」5ヵ年計画が閣議決定されたのが2014年でした。以来、官民ファンド、地域金融機関主導の大型ファンド、そして個人向けの不動産ファンドにおいても、「京町屋再生」の取り組みなど、地方創生をテーマとしたものが一つの潮流となってきました。

  4. 最後に、「運用主体」別に分けてみます。個人投資家目線で投資できる商品に限定すると、まず、➀ JREITでは、「証券投資信託及び証券投資法人に関する法律」に基づいて設立された「投資法人」の下で運用や資産保管などには専門の会社が当たります。次に、②不特法型ファンドでは、「不動産特定共同事業法」に基づいて免許を取得した宅地建物取引業者が運用、管理を行います。最後に、③金融商品取引法に基づく貸付型のファンドでは、金融商品取引業者が営業者となり、対象を不動産に特定して貸付(ノンリコースローン)を行いますが、この形態も「不動産ファンド」と呼ばれることがあります。

以上、どのような種類の不動産に投資するのか、どんな仕組みのファンドなのか、対象不動産の場所はどこか、運営責任者は誰か、といった4つの側面から整理してみましたが、つまるところ、不動産ファンドとは投資家が現物不動産を保有することなく、対象不動産からのリターンを享受できる仕組みですので、不動産そのものの価値に加え、その仕組みや運用主体について深く知ることが大変重要になってきます。

不動産というリアルアセットを証券化するということ

不動産の証券化は「不動産と金融の融合」であり、不動産というリアルアセット(実物資産)を金融資産の代替商品に仕立て、ポートフォリオの分散を可能としたという点で投資家のニーズにマッチしました。

更にテクノロジーの発展により、従来の株式や債券への投資と同様に、個人でも比較的少額から投資でき、オンライン上で完結できるファンドが続々と増えてきています。

「リアルアセットであるオルタナティブアセット」は他にもいろいろあります。代表的なものは金やプラチナです。幸いにも長らく戦乱に巻き込まれていない日本にいると、多少の揺れはあるものの、日銀券に対して絶大な信頼があり、代替資産にそこまでの必要性を感じないかもしれません(ビットコインなどの暗号資産がリアルアセットかどうかという点については今後議論のあるところだと思います)。

お金は金融機関がただで預かってくれますし、今でこそ金利はほぼつきませんが、かつては信用創造の一役を担うことにより金利を稼ぐことができました。一方で金やプラチナ等の実物資産を持っていても、運用して金利を稼ぐことが出来ないどころか、安全に保管するために費用を払う必要さえあります。また、従来のインフレヘッジ目的も最近では重要度が下がっている状況です。

その点、同じリアルアセットでも、不動産は実需に基づき、賃貸によるインカムゲインや、値上がり益(キャピタルゲイン)を期待することも出来るのです。もちろん、間違った投資をしなければという但し書きは付きます、という点はどの資産に投資する場合でも同様です。

最後に、よく「不労所得」というけれど・・・

不動産投資のコラムでよく見かけるキャッチに「不労所得を得よう!」があります。労せずして収入を得るとは、他人のために労働したり、苦労したりせず、元手を賢く、楽に増やして生活しましょうということだろうと思います。しかしながら、苦労しないでお金が増えるということは、宝くじにあたるくらい珍しいことかもしれません。

自分で苦労と思うかどうかは別の話ですが、投資において成功する人とは、常に注意を怠らない人なのではないでしょうか。自分が元手をつぎ込む先の運営会社、担当者、対象物件などについての開示情報を自ら調べ、マクロ情勢を理解し、今、行動すべきタイミングなのかどうか、自分の人生のフェーズとの折り合いも含め、諸々納得の上で投資を決断することが大切ですし、それは、実は立派に骨の折れる仕事ではないかと思います。

そういった投資を決断する際の材料について、今後、別途コラムにて、テーマを絞ってお伝えしていければと思います。是非、一緒に投資を楽しみましょう!

LIFULL不動産クラウドファンディング編集部
この記事を書いた人

LIFULL不動産クラウドファンディング編集部

この記事をシェアする

関連情報 TIPS

お役立ち情報一覧へ

お得なメールマガジン MAIL MAGAZINE

お得なメールマガジン
  • 募集を開始したファンドのお知らせ
  • 募集終了間近のファンドのお知らせ
  • 各種イベントの優先的なご案内
  • 最新トレンド・不動産クラウドファンディングニュース

メルマガ会員登録はこちら